冒頭① ゆとりさとりも真っ青
まず状況を整理しよう……
さかのぼること数時間前。
「くそ、SRかよ……」
ぼそぼそと独り言を呟きながら、ゲームをやっているこいつが、少し前の鈴木光太だ。
世の中には勝ち組と負け組の二種類しか存在しない……
とは良くいったもので、現実の俺は明らかに負け組だった。
生まれは比較的勝ち組だったように思える。
幼馴染みの女の子や隣のお姉さんなんかはいないものの
中流家庭の長男で、特に何の不自由もなく学校に通い、習い事もさせてもらえていた。
さすがにURやSRとは言えないものの、R+くらいの価値はあったはずだ。
それがどうだ、友達ガチャ、教師ガチャでまさかのハズレを引き。
気づけば学校では孤立……
休んでも誰も気に止めない空気のような存在になっていた。
そう、この世はガチャ運次第なのだ……。
「はぁ、そりゃひきこもりにもなるよな……」
そんな些細なことで引きこもりになった俺は、勝てる勝負しかしない、最強モードでしか遊ばない。
どのゲームでもURを引き当てるまでリセットを繰り返し、最強モードを確信してからゲームを始める。
いわゆる【リセマラ】の真っ最中だった。
「くそ、またR、本当にあたんのかよ……って、お!?派生した!もう1段階来い!!」
銀色の光が金色に変わり、そして虹色に変わる
「キタキタキタ!!UR確定だ!!!」
その光はさらに強くなり部屋全体をつつみこみ―――
「っておいおい光りすぎだろ!?どうなって……」
目も開けられ無いほどの光に包まれ、そこで俺の意識は途絶えた。