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序章

 遥か三千年の昔、この地にはグリーシュの一族が治めるリグネイ帝国があった。



 東西の海を越えればセインティア帝国。


 そのセインティア帝国から真北の方角には、オルヴェル帝国が存在した。


 いずれも列強ぞろいの三大帝国の中でも、リグネイ帝国は土地も広く資源も豊富で、農作物の収穫も申し分ない国だった。



 しかしその大帝国は、全盛期の中ふいに滅ぶ。



 満開に咲いた花が、強い風にあっけなく散るように。



 数あるリグネイの歴史書を紐解いてみても、その結末に関する事実はようとして伝えられていない。


 唯一の手がかりは、現在この大陸を統治しているオルヴェル帝国の歴史書に残された、リグネイ帝国に関する資料だけだった。



 『これはどうしたことだろうか。遠目から見れば美しく巨大な街だというのに、そこに住む人間達は非常に少なく、皆生気が無い。顔は青ざめ目は虚ろで、あたかも蘇った死者達があたりをさ迷っているかのようだ。ここは本当に、あのリグネイ帝国なのだろうか?皇宮もひどく荒れ果て、中に居た皇族は皇帝と一人の幼い皇子だけだった。捕虜として捕らえたが奇妙なほどに抵抗は無く、オルヴェル帝国によるリグネイ帝国併合の調印の後、監視をつけ貴族として解放。皇宮をそのままグリーシュ家の本邸とし、十二の離宮は別邸として、本邸及び全ての別邸を含む、元リグネイ帝国皇室領の五分の一にあたる領地を与えた。オルヴェル帝国ソルフェージュ家による国土復興は……。』



 これが真実なら、ソルフェージュ家の者がリグネイ帝国への領土拡大をはかった時、リグネイ帝国は事実上既に滅亡していたことになる。


 しかし、オルヴェル帝国の書に記されたリグネイ帝国滅亡後の様子は、滅亡直前に書かれたと思われるグリーシュ家の歴史書の内容と、あまりに違っていた。



 『四季折々の花があらゆる所に咲き誇り、民は多く街はにぎやかで皆生き生きとしている。高尚な学者も多く、更なる帝国の発展に期待が持てる。』



 街をにぎわわせていた人々は、一体どこへ消えたのか。


 幾多の歴史学者達がこれについて議論を戦わせたが、未だ確たる答えは出ていない。


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