FILE68:命懸けの復讐『2』
スゥ達は、現場を訪れていた。
「見てくれ、この荒らされよう。余程、激しく争ったんだろう。ここが無事だったのは、奇跡的だな」
中嶋警部が見つめる先には、仏壇があった。
「この人は?」
「被害者の奥さんだが、半年前に亡くなったそうだ・・・」
「あーあ、高そうな鏡なのにメチャクチャ」
「何や、パズルみたいやなー」
「これをここに嵌れば、完成か。それにしても・・・」
「そうですね、これだけ荒らされてれば、」
「音ぐらい、誰か聞いてるんじゃないの?」
「イヤ、それが1人もいないんだ。このアパートの住人は、ほとんどが昼間働いてて留守でな」
「残ってたのは、耳の遠いおばあさんと学生だけで、しかも学生はヘッドホンで英会話のテープを聴いてたそうですよ」
「第1発見者は・・・?」
「出て来い、高本!!」
突然、アパートの外から声がした。
「よくもおやっさんを!!オマエだけは許さないぞ!!」
「止めんか!!」
「うるさい、放せ!!出て来い高本!!ボクがぶっ殺してやる!!」
「村井英志・・・あの人が、第1発見者だ。被害者の嘉藤さんは、工場経営者だったんだが、村井さんはそこの従業員だったそうだよ」
「だった?」
「倒産してるんです。2年程前にね・・・」
警視庁
「今更取り調べなんかしても、無駄だと思うんだが」
「少し、気になる事を聞くだけだ。あなたが高本さんですね?オレは捜査を担当する、捜査秘密課の明日岡です。2、3聞きたい事が・・・」
「こんな高校生が刑事だぁ?警察も落ちぶれたもんだな」
「貴様、何だその態度は!!オマエはこれから取り調べを受ける身なんだぞ!?」
「それがどうした?オレは、何もしてないんだ。取り調べだろうが何だろうが、サッサとやりゃ良いだろ?」
「クソッ・・・」
村井英志『元従業員』
「お願いします、刑事さん!早くコイツをぶち込んで下さい!!」
「落ち着いて下さい。それより村井さん、今日は何の用で、嘉藤さんの部屋に行ったんですか?」
「変だったんです。様子がおかしかったんです、おやっさん。半年前に奥さんが亡くなってから、別人みたいになってて、ずっと部屋に閉じこもりきりで・・・それで心配になって。ボクがもっと早く部屋に着いていれば、こんな事には。おやっさん、スゴく良い人なんです。助かりますよね!?」
「知るかよ、うるせえな。あのジジイに呼び出されたばかりに、オレはこんな目に遭ってんだ」
「!」
「大事な用があるからって部屋に行ったが、碌な話をしやしねぇ。結局、何の用だか分からねぇまま帰されたんだ」
「ふざけるな!おやっさんがオマエに用なんかあるもんか!!オマエの顔なんか、見たくもなかったハズだ!!」
村井の言葉の、意味は!?
次回、工場倒産の理由が明らかに。