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FILE65:温泉旅館の殺人『4』

ピチャーン・・・


戻って来たスゥは、現場の状況を説明していた。


「君の言ってる事の意味が分からんね。それじゃ、やっぱり事故じゃないのかね?」


「篤子。」


スゥは篤子の方を向く。


「頼まれた物、持って来てくれた?」


「ええ、別の部屋にあった浴衣一式よ。でも、これ何に使うの?」


篤子はスゥに浴衣を手渡す。


「流石に女性が複数人いるこの状況で浴衣脱ぐ訳にもいかないからね。この一式を使って説明しようと思う。」


そう言うと、スゥは帯→浴衣の順に近くの椅子にかけた。


バサ!


「見て下さい。普通、浴衣を脱いだらこうなります。ところが、脱衣場の籠の中では・・・浴衣の帯が一番最初にきていたんだ。普通、風呂に入る時は帯、浴衣、下着の順に脱ぐでしょう?それだったら、帯は一番下にきているハズだ。ところが、社長のは帯が一番上で下着が一番下だった。つまり、下着を最初に脱いだ事になるんです」


それを聞いて、茂次が気づいた。


「じゃあ、社長は・・・」


「そう、誰か別の人間に脱がされたんです!!犯人は社長の浴衣を脱がせ床に置き、順番通りに籠に入れた。これによって順番は入れ替わり、帯が一番上にきてしまったんです!」


「でも、それは考え過ぎなんじゃない?社長は現にお風呂で裸で倒れてた訳だから、当然、自分で脱いだんでしょう?」


小晴が言う。


「違います。社長は風呂場で亡くなったんじゃない!なぜなら、社長の両かかとには真新しい傷がついていたからです!これが何を意味すると思いますか?」


茂次と良男が、ある事に気がついた。


「そう!誰かに引きずって来られたんです。つまり社長は別の場所で殺害され、その後風呂場に運ばれたんです。事故死に見せかけるために・・・」


スゥは一旦言い終わると、深雪の方を向いた。


「深雪さん、さっき隠れんぼをしようと言い出したのは、あなたでしたよね?しかも社長が席を立ってから遺体が見つかるまで、誰にも目撃されていない・・・」


「警視正!待って下さい。だからって、事故の可能性がなくなった訳ではないでしょう!?みんなも隠れんぼしてた訳だし、他の人だってあの時・・・」


茂次が意見を言うが、その言葉を突如1人の声が遮った。


「もう良い!!私だ。私がやったんだ!!」


そう叫んだのは、瀬戸内良男だった。


「私はあの時、席を立って社長に謝りに行くつもりでした!!ところが、逆に口論になってしまったんです!!それでついカッとなって、社長を・・・彼は酒に酔って、油断していました。それで、側にあった石で・・・殺すつもりなんてなかった・・・ついカッとなって・・・本当に、こんな事になるなんて思わなかったんです。すみません、本当に・・・本当に、申し訳ない・・・」


膝をつきながら泣き崩れた、良男。


本当に、彼が犯人なのか・・・!?


次回、解決。

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