FILE63:温泉旅館の殺人『2』
「やっぱ食事は大勢の方が美味しいな。」
「おい深雪!いつまでもその子を抱いているんじゃない。」
「もう・・・いつもこうなんだから。」
ガシャン!!
「!?」
「うるさい。キサマ、副社長の分際でオレに指図するのか!?」
「そ、そんな。私はただ・・・」
「口答えするな。社長の座を取られた事を未だに根に持ってるんだろう?」
「まあまあ、落ち着いて下さいよ。」
「そうよ、あなた。せっかくの旅行なん・・・」
グググ・・・
「良いか、瀨戸内。社長はオレだ。もし今後、オレに楯突くような事があれば・・・クビだ。」
「社長!せっかくの旅行なんですから・・・」
バシッ!!
「キャ!!」
「露天風呂に行って来る・・・」
「露天風呂って・・・雨だよ、外・・・」
バタン!!
「だ、大丈夫ですか!?深雪さん!!」
「・・・」
クルッ!
「ね!それじゃ気分直しにかくれんぼしようか!」
「かくれんぼ?」
「だって、この旅館私達以外に客いないのよ?誰にも迷惑がかからないじゃない。」
「フゥン、面白そうだ。」
「やろう、やろう。」
「ジャンケンポン!」
「あちゃあ、ボクの負けか。」
「それじゃ、最初はスゥ君が鬼ね。」
「それ、隠れろ-。」
たんっ!!
「ハハ、全く元気の良い人ですな。」
「わ、私、ちょっと気分が悪いので部屋に戻ります・・・」
「お、おい。大丈夫か?」
「ええ、あなたはここで飲んでらして。」
「じゃあ、私も一緒に行こうか?」
「いいえ。ご、ごめんなさい。少し横になれば、大丈夫だと思うから・・・」
「そ、そうかい?」
「さて、篤子の隠れそうな場所っつったら・・・」
ガラッ!!
「そこだ!!」
「何よ、私が最初?」
「そういう事。さて、後は真古と深雪さんだな。」
「あ、あの、私・・・私、タバコ買って来ます。」
「お!タバコなら、私のがありますよ。吸いかけで良ければどうぞ。」
「い、いえ・・・」
ス・・・
「バカね、茂次。奥さんを心配して見に行ったのよ。」
「あ、なるほど。」
「何せ、瀬戸内さんは夫婦仲が良い事で有名だからね。」
ザーッ・・・
「真古、見つけた!」
「見つかってもたか。」
「バカだな、真古は。いつも舐めてるキャンディが丸見えだったぞ。」
「あれ?深雪さんは?」
「知らんで?」
「何だ、あの人の事だから真古と一緒にいると思ってたんだが。どこに行ったんだ?」
「おかしいな、こんだけ探しても見つからないなんて。」
「後隠れられそうな場所って言ったら・・・」
露天風呂
「でもまさか、女湯までは探しに行けないよなぁ・・・混浴の方にいる可能性もあるが・・・ん?あれ?男湯の方に誰か入ってるみたいだ。」
「遠月社長でしょ。」
「あの人、こんな雨ん中まだ入ってんのか?いい加減上がんないと風邪引くぞ・・・ちょっと見て来るよ。」
ガラッ!!
「おーい、おじさん。いつまで入ってんの?」
シーン・・・
「いないのか?おーい、おじさんってば・・・。!?」
スゥが手が伸びている方に駆け寄ると、そこでは俯せに倒れた遠月社長の姿があった。
ピシャン・・・
「おじさん!?」
スッ!!
「ダメだ、手遅れか・・・」
ザァァァァァ・・・
起きてしまった、悲劇。
果たして、その犯人は・・・!?