FILE62:温泉旅館の殺人『1』
登場人物紹介
明日岡スゥ 警視庁捜査秘密課の警視正。小学6年生。
浜谷篤子 警視庁捜査秘密課の警視。小学6年生。
保安真古 警視長捜査秘密課の警部。小学6年生。
中嶋茂次 警視庁捜査一課の警部。身内に起こった殺人事件をスゥ達が解決して以来、彼らの実力を認め、捜査に協力している。
中嶋一葉 茂次の姉で、中嶋総合病院の院長。茂次と同じ理由により、スゥ達の実力を高く評価している。その一方、弟の茂次との仲はあまり良くはない。
遠月悟 遠月コンツェルンの社長。
瀨戸内良男 遠月コンツェルンの副社長。
瀨戸内小晴 瀨戸内良男の妻。
江舟深雪 遠月コンツェルンの社長秘書。スゥ達(特に真古)を気に入っている。
みんな、元気にやっているか?
スゥだ。
今回は、オレが小学6年生の時に遭遇した事件について話そうか・・・
スゥ達は、温泉旅館へとやって来ていた。
「温泉旅館なんて久し振りだな。」
「それにしても、高そうな旅館やなぁ。」
「心配ないわ、天王州さんのおごりなんだもの。」
「そうそう、あなた達がいなかったら『聖女の瞳』が盗まれて、天王州ダイヤモンドは潰れてたかも知れないんだからね。」
「あら、カワイイ坊や達!!」
スゥ達の前に、浴衣を着た女性が現れた。
「誰だろう、この人・・・」
遠月悟『遠月コンツェルン 社長』「何をしている、深雪!!」
「す、すみません、社長・・・」
「おや?遠月社長ではありませんか。」
「おお!中嶋先生。奇遇ですな、こんな所で。おや?この子達はお子さんですか?」
「いえ、私の友人ですよ。」
「お久し振りです、中嶋先生!」
「!」
瀨戸内良男『遠月コンツェルン・副社長』「イヤァ、こんな所でお会い出来るとは。」
瀨戸内小晴『良男の妻』「先生達もお泊まりだったのですね。」
「イヤァ、ウチのバカ秘書がこんな寂れた旅館なんぞを選んだもんですから、私らの他に客がいないんですわ。」
「あ、じゃあ、貸し切りだったんですか。悪い事しちゃったかな。」
江舟深雪『遠月コンツェルン・社長秘書』「私達は大歓迎よ!こんなカワイイ子達が一緒なんだもの。」
「全く碌な仕事もしない癖に、言う事だけは1人前だな。」
「まぁまぁ、せっかく深雪さんが予約してくれたんですから。」
「そうですよ、社長。」
「浴衣も素敵!私達も早く着替えよっと。でも、おばさん。浴衣に靴下って、ちょっと変じゃないかしら?」
「しょうがないのよ、私、冷え性だから。ここは夜になると、今よりもずっと寒くなるのよ。」
「よし、それじゃ寒くなる前に温泉に入りに行くか!!」
「それじゃあ、行きましょうか。」
「オレは良い。」
プイッ!
「あ、社長!はは、そうですか。じゃあ、あちらでお茶でも・・・」
スゥ、茂次、一葉は混浴の方の温泉に浸かっていた。
篤子、真古、深雪は女湯である。
「フゥ・・・やっぱ冬は温泉に限るな。」
「同感。」
「・・・」
「どうしたんです?一葉さん。」
「ん?イヤね・・・あの遠月さんと瀨戸内さんなんだけど・・・とても一緒に温泉に来るような仲とは思えなくてね・・・」
「え?」
「今副社長をしている瀬戸内さん。実績じゃ、あの人が副社長になるハズだったのよ。ところが、前の社長が遠月さんの父親でね、本来社長になるハズだった瀨戸内さんを退け、遠月さんを副社長にしてしまったの。その上遠月さんはまだ若いし、舐められたくないって意地もあるんでしょうね。やたらと威張り散らしているのよ・・・」
「それで、あの2人は仲が悪いって訳ですか。」
「まぁ、瀨戸内さんが出来た人だから今の所問題は起きてないんだけどね。」
「フゥン・・・」
ポツ!
「あ!雨か。」
「チッ、ついてないなぁ・・・」
次回、事件発生。