FILE60:大変!?スゥの波乱なドラマ撮影!!『6』
ドラマ本番撮影日 初日
「スゥ君、今日は頑張ってね!」
「言われるまでもねぇ!夏樹ー!」
「夏樹君、今日は初日おめでと・・・」
スゥ達は戦部夏樹の楽屋に入る。
するとそこには、大きく『バーカ』と描かれた鏡とうなだれている夏樹の姿が・・・
「わーっ!!!あ・・・あのアホ全然懲りてねぇ-!!」
「ここまでやられると、怒る気も失せる・・・」
「(結局、兄弟の仲は悪いままか・・・)」
「(練習は何とかやれてたみたいですけど・・・大丈夫でしょうか、明日岡君・・・)」
今回のドラマは、刑事同士の恋愛物語。
しかし、途中で思わぬ悲劇に発展していくのだ。
鶴橋英作『戦部夏樹』
「ここがウワサの特命課ですか・・・」
そこに、女刑事である榊原良美が現れる。
榊原好美『明日岡スゥ』
「・・・」
ニコリ・・・
「(・・・メイド・・・なかなかやるじゃないか・・・)」
榊原警部に一目惚れした鶴橋警部補は、榊原のいる特命課に通いつめる。
しかし、榊原には愛人が・・・
榊原の愛人、歌川三郎の家・・・
歌川三郎『戦部春樹』
「・・・」
一方、スゥの楽屋
「オマエら何でオレの楽屋にいるんだよ・・・」
「まぁまぁ。(ワイルドな春樹君が演じる、優男刑事、歌川三郎・・・)」
「(果たして、どんな・・・)」
ドカッ!!
「オレ様への用事たぁ、ご苦労な事だな。」
「(ワイルドのままー!?)」
「ヤダぁ・・・ちょっと何あれ・・・」
「歌川刑事って、榊原警部のヒモでしょ?」
「恋人に自分の心情も伝えられないような、弱い男のハズなのに・・・」
「あれじゃ優男じゃなくて、まるで帝王!!!」
「あー、気分そがれた。スゥ君と夏樹君が出るまで外出てよ。」
「直系だからって最近、調子に乗り過ぎなんだよなぁ春樹。」
「こんなんだから、主役を弟に持ってかれちゃうんだよ。」
「あの大バカヤロー、何考えてんだ!!練習ではちゃんとやってたクセに!!」
「このままじゃドラマメチャクチャだよー!!」
「・・・バカ兄貴。」
スゥの楽屋に、夏樹が入って来る。
「!!夏樹!」
「だから共演なんてイヤだったんだ。アイツは最初から、オレ達とやり合う気なんてなかったんだろうからな・・・」
「許さないですの、春樹ー!!」
麗華と哀は春樹の楽屋へと走って行った。
「おい、オマエら!!」
春樹の楽屋
「春樹が次に着る衣装にビッチリ、謝罪文を刺繍してやりますわ!!針をお持ちなさい!!」
「みっともないマネすんじゃね・・・ん?アイツの台本・・・」
台本には、かなりの書き込みがしてあった。
「こんなに書き込んでるのに、何で評判下げる演技・・・親父の名前継げなくなっちまうぞ・・・」
「!うん、春樹も別に継ぎたくないって。」
「・・・あ?」
「この前、練習場に連れてく時に話したんだけど・・・」
『長男で優遇されるとか、どうでも良いんだよ。大人が勝手に騒いでるだけだしな。オレなんかじゃなくて、夏と変わってやりてぇ・・・アイツの方が親父の名を継ぎたがってたからな・・・』
「そりゃあ、あれだけ態度悪ければ、夏樹君が襲名するんじゃないですの?」
「だよねぇ・・・」
「それだ!!」
榊原警部との縁談までこぎつけた鶴橋警部補だったが、歌川刑事の横槍が入り、榊原警部に愛想尽かしをされてしまう。
「(・・・さて・・・ここでハケて、オレの出番は終了。後は2人で頑張りやがれ・・・)」
ガシッ!!
「もーちょっと、つき合って貰うぜ、春樹!!」
「!?」
「あ、明日岡君!?なぜ、出番のない春樹を・・・!?」
「(・・・メイド・・・?)」
「(何考えてんだ、コイツ・・・?)」
「この人はアタシの間夫です。見ての通り、どうしようもないならず者で、人の気持ちもお構いなしに、好き勝手振る舞う救いようのない男・・・」
クスクス・・・
「(そんな事、言われなくとも知ってる・・・)」
「・・・でもそれは全部、あなたのため。いくら贔屓にされても自ら悪者になれば、あなたの人柄の良さに皆引きつけられる。こうする事でしかこの人は自分の気持ちを伝えられない、弱い男なんです!!」
「(メ・・・メイド・・・歌川じゃなく、兄貴の事を言ってるのか・・・?)」
「・・・おい!テメェ、いい加減に・・・」
「ただ、ちょっとやり方が間違っていただけで・・・言葉でちゃんと言わないと、きっとあなたは気づかないから・・・」
ポロ・・・
「!?」
「な、涙・・・!?」
「・・・おい、今の話が本当ならば・・・今すぐ、その猿芝居を止めろ。」
「・・・」
ザッ!!
「オレには・・・これしか出来なかったんだ。夏・・・」
ザッザッザッ・・・
春樹の楽屋
バッ!!
「ハァ・・・ハァ・・・アホか、オレは・・・雰囲気に呑まれて素で演っちまった・・・つーか、本番中にオレ達の仲取り持とうとか、どういう神経してんだ、アイツ・・・」
『あなたも彼と一緒に過ごしてみれば分かりますわ。』
「・・・変なヤツ。」
そしてその後、春樹はマジメに役を演じるようになり、戦部兄弟共演のドラマは大盛況となった・・・
メイド喫茶
「全くアイツは・・・初日はバカ丸出しだったな。一言、言ってもらわんと分からんだろうが。」
「つーか、一貫して不良を演じ続けてた兄貴もスゲェよな。」
「スゴイというか、バカだな。他にやり方があっただろうに、あのバカ・・・」
「テメーッ言い過ぎだぞ、夏ー!!!」
「店の中でやかましいぞ、バカ兄貴。」
「本当にこの2人、上手くいってるの?」
「顔見て話すようになっただけでも大進歩だろ。(それよりも・・・)」
グイッ!
「おい、茶でも入れろよ。」
「(オレは・・・)」
グイッ!
「おい、コイツは今オレのメイドだぞ。」
バチバチバチバチ・・・
「(何かまたイヤな予感がするのは気のせいだろうか・・・ハァ・・・)」
とりあえず、戦部兄弟の仲は縮まった・・・かな?
次回、スポーツ大会で大白熱!?




