FILE06:自己紹介は何かの始まり?『1』
教室に戻ったオレ達には、いよいよ自己紹介が待っている。
「それじゃ、順番に自己紹介をしてもらおう。まずは藍沢桜!」
「はい!」
藍沢桜が、前に出てきた。
「愛媛第一中学校から来ました、藍沢桜です。実家が果樹園なので、果物に関しては少し知識があります。皆さん、仲良くしてくださいね。」
いい自己紹介だ。
暖かい拍手が上がった。
「次は、赤城秀二!」
「はい!」
赤城秀二が前に出た。
「横浜東校から来ました、赤城秀二です。サッカーには自信があります。よろしく。」
これも悪くない。
次は朝霧哀だ。
「自分は朝霧哀。それ以上でも、それ以下でもない。」
朝霧は、静かに席に着いた。
「じゃあ、次は明日岡スゥ!頼むぞ!」
「はい。」
オレの番が来た。
「柏大学付属中から上がってきた、明日岡スゥです。皆さんよりも若干この学校の事がわかりますが、そんな事は抜きにして仲良くやっていきたいです。あと・・・皆さんお気づきだと思いますが、このクラスは他のクラスとは少し違います。」
「違うって、どう違うんですか?」
ショートの女の子が手を上げた。
「えーっと、君は?」
「湯江朝美です。」
「湯江さんだね。では、今から説明しますが、この高等部のクラス分けは、数字ではなく英語になっています。なぜかわかりますか?」
オレは質問を投げかける。
みんな首を横に振った。
「わかりませんか。この高等部は、将来なりたい職業別にクラス分けされているんです。例えばDなら『ドクター』。医者です。そしてこのクラスは、Q。この意味は『クオリファイド』。『資格を与えられた者』という意味です。このクラスの設立者は、おそらく探偵・・・ボク達がこのクラスに選ばれた以上、Qクラスとしてほこりを持って、勉学に勤しんでいきましょう。終わります。」
この自己紹介は効いたようだ。
全員から暖かい拍手が上がっている。
オレは、篤子にピースサインでウインクする。
篤子は、とてもうれしそうな顔をしていた・・・