FILE57:大変!?スゥの波乱なドラマ撮影!!『3』
「おいおい、そう怖え顔すんなって、綾小路。しょうがねぇだろ?オマエの取り巻きがオレの前にいて邪魔だったんだからよ。」
「・・・そんな理由で、あなたは人を突き飛ばしたって言うんですの・・・?戦部春樹・・・芸能人だからって、やってて良い事と悪い事の区別もつかないんですの!!」
「(オマエも最初は高飛車な性格だったじゃねぇか・・・それにしても、アイツが戦部夏樹の兄・戦部春樹か・・・また厄介そうな相手だな・・・)」
「ククク・・・綾小路、オマエ・・・しばらく会わねえ内に、随分お嬢様らしい人間になったじゃねぇの。」
「・・・そう思うんなら・・・あなたも少しぐらい、男らしい態度を取ったらどうなんですの?」
「フーン、男らしい態度って・・・こういう事かな~?」
バッ!!
「!!」
バシッ!!
「!?」
「あ、明日岡君!?」
「悪ぃな、クラスメートに手ぇ出されるかと思ったから、割り込んじまったぜ。」
「何だ、オマエは。部外者は引っ込んでろよ。」
ヒョイ!
「おっと。」
「つうかオマエ・・・オレ様が誰か分かっててやってんのか?戦部家の長男・春樹様だぞ。一般人でも名前聞いた事ぐらいあんだろ?」
「勘違いしてんじゃねぇぞ!オマエなんて、今知ったばっかだよ!端から見りゃただのチャラ男と変わらねえじゃねぇか!!」
「フ~ン・・・気に入ったぜ・・・このオレにそこまで言ったのは、オマエが初めてだ・・・」
「コラーッ!!何やっとるかそこー!!」
「ゲッ、青木雅子ちゃん。逃ーげよっと。」
スゥのクラス
「なるほど、夏樹君の兄と会ったんだね、スゥ君は。」
「戦部春樹ですか・・・弟の夏樹君と違って、彼は問題児らしいですからね。少し前から急に俳優業界でも横暴な態度を取り出して、担任も手を焼いてるとか・・・」
「オマケに、戦部兄弟の仲の悪さも有名なんですの。明日岡君も知ってるでしょ?」
「ああ、何か弟はWクラスにいるとか・・・でもオレ今度、ソイツらとドラマで共演するんだが・・・」
「だったら明日岡君!春樹はともかく、夏樹君とは仲良くしといた方が良いですわ。ドラマを成功させるためにも、話の分かる方と少しでも練習を進めておくんですの!」
「(・・・弟って・・・戦部夏樹の方だよな・・・でもアイツ、男の格好のオレを知らねえし・・・)」
Wクラス
「夏樹君。あのー・・・勉強教えて欲しいんだけど・・・」
「・・・何でオレが・・・他のヤツに頼めよ。」
ガラッ!
「あ~ん!何てつれないのかしら夏樹君!」
「成績優秀でスポーツも出来て人望も厚いのに、いつも心を閉ざした感じで・・・」
「でも、そこが良いのよね~っ!!」
「(チッ・・・人の気も知らないで・・・Wはミーハーが多くて困る・・・)」
ガチャ!
『ご主人様へ♪』
バーン!!
メイド喫茶『HONEY』
カッカッカッ・・・
バン!!
「お帰りなさいませ、ご主人様♪」
バッ!!
「オマエ、これはどういうつもりだ・・・この手紙届けにわざわざ学校まで来たってのか・・・?」
「ご、ご迷惑でした・・・?すみません・・・アタシ、あの・・・メイドの分際で烏滸がましいのは分かってますが・・・ご主人様とはもう1度、ちゃんとお話ししたくて・・・」
「・・・チッ!来い!!」
バッ!!
「わーちょっ、外はダメ・・・ちょ・・・ご主人様ーっ!!」
「あ~ん、スゥが連れてかれちゃった・・・」
「心配しないで、篤子。明日岡君には今日、借りがありますの。この綾小路麗華、彼に変わってご奉仕してあげますわ!!」
「そやからいうて何でウチまで・・・」
「良いじゃない、こういうの楽しそうだしw」
麗華・雅子・桜菜の3人もメイドの格好をしていた・・・
「外はダメだって言ってるのに~!!」
「・・・おい、メイド・・・何でオレにそうこだわる?客なら他にもいっぱいいるだろうが。」
「そうだけど・・・やっぱオマエの事気になるし・・・後、ウちのスゥが練習に来ないって心配してたから・・・」
「チッ、結局その話か・・・前にも言ったろ、兄貴が出るなら、オレは出ない。」
「何でそんなに兄貴が嫌いなんだ?一発ヤキ入れてやれば良いだろうが!」
「これだからトーシロは・・・俳優業界じゃ長男と次男にどれだけ差があるか知らんだろ。ヤツは長男ってだけで、放っといても家の名を継ぐし家の物も受け継ぐ。良い役があれば、オレより先に兄貴の方に回されるんだ。業界じゃ直系が第1だからな。」
「何か、面倒くさいんだな。」
「・・・そのせいで、兄貴も変わっちまった。昔はあんなヤツじゃなかったんだ。切磋琢磨し、毎日一緒に練習をしていたんだ。ある日、親父から兄弟の間で圧倒的な差がある事を聞かされるまでは・・・オレも兄貴も分かっていたんだ。いくら頑張っても、オレは直系になれない事を。それでもせめて兄貴にはついてこうと、オレは必死に勉強した。だがその一方兄貴は、自分が優遇される事を覚えてしまった。その結果が、今のアイツだ。兄弟である以上仕方のない事だとは思っていたが、こんな掟1つで簡単に変わってしまったアイツが許せない・・・」
「夏樹、オマエさぁ・・・本当は春樹と仲直りしたいんじゃねぇの?」
「口を慎め、メイド・・・誰があんな、他人を見下す事しか知らんクズ野郎と・・・」
「すいませんすいません!!(それにしても、春樹も昔はマジメだったのか・・・でもそれが急にあんな無礼な人間になるか・・・?こりゃ、春樹の方も何かありそうだな。)だったら、夏樹!今度のドラマで、オマエだって春樹よりスゴいってトコ見せつけてやれば良いじゃねぇか!」
「・・・そんな事出来るか!オレは一生、兄貴の陰で生きていくしかないんだ・・・」
ギュッ!
「おい!」
「見てるよ。オマエが頑張ってるの、見てるヤツはいっぱいいる!だから、くだらねぇ掟なんかブッ飛ばすつもりで、もっと前に出て来いよ!!だから、ちゃんと練習出ろ!後、春樹とのヨリもオレが戻してやるぜ!!」
タタタ・・・
「!!おい、メイド!!・・・何なんだ、アイツは・・・調子が狂う・・・」
「(兄弟ゲンカも、明日までだ!!)」
次回、スゥが春樹に宣戦布告します!?