FILE55:大変!?スゥの波乱なドラマ撮影!!『1』
新たなキャラクター、登場。
授業を終えたスゥは、篤子と一緒に帰宅した。
ガチャ・・・
「スゥ~、久しぶり~!」
「あ・・・姉貴!?」
オレ達を玄関で出迎えたこの人は、オレの姉、柊美羽。
名字が違うのは、現在女優をやっているからだ。
最近は女優業が忙しいらしく、あまり実家に帰ってないらしいが。
「お久しぶりです、美羽さん。」
「ヤホ~、篤子ちゃん。元気そうで何よりだよ~。」
「何の用だ、姉貴?わざわざマンションに顔出して・・・」
「スゥの事をある人に話したら、是非共演したいって人がいてさ~。今度ドラマにアタシの代わりに出て欲しいのよ。」
「ハァ!?何でオレが・・・お断りだ!!」
「そんな事言っても、もうマネージャーが契約交わしちゃったし・・・FAXも届いてるのよ、ホラ。」
「FAX?」
スゥは美羽から渡されたFAXを見る。
『今度のドラマで明日岡スゥ君との共演が決定したとの事なので、よろしくお願いします。 戦部』
「戦部!?あの有名な家系かよ!?」
「スゥ、知ってるの?」
「あぁ、戦部家つったら俳優女優の名門家系だ。戦部冬道って大御所俳優が有名な家系だよ。そんな所の人が共演してくれるなら・・・ん?」
スゥはもう1つのFAXを見つけた。
『追伸
バカ女優の柊美羽の弟となんて気が進まねえが、足引っ張らねえようにしっかり練習しとけ
バーカ 戦部』
「んだとコラァーッ!!」
スゥはFAXをメチャクチャに破いた。
「冗談じゃねえ!こんなナメた野郎と共演なんて誰がするか!!篤子、バイト行くぞバイト!!」
「えっ、ちょっとスゥ・・・」
スゥは篤子を引っ張り、マンションから出て行った。
「帰って来るまで待ってるからね~!!」
メイド喫茶『HONEY』
「勢い余って出て来たは良いものの・・・何でオレ普通にバイトやってんだろ・・・」
「スゥちゃん、このフルーツパフェを奥のテーブルに運んでもらえるかしら?」
「あ、はい店長!(あ~、恥ずかしい・・・でも、あんなナメたFAX送ってきたヤツと練習するよりはマシか・・・)」
スゥは奥のテーブルまでフルーツパフェを運んで行く。
「お待たせしましたご主人様・・・」
スゥの前に映ったのは、本を読んでいるメガネの青年だった。
「・・・」
カランカラン!
「お帰りなさいませー。」
メイドの1人が、スゥにぶつかる。
ドンッ!
「わっ!」
ドサッ!
「!!(メッチャ怒ってやがる~!!)」
メガネの青年は、眼を光らせていた。
「ス、スミマセン!」
ゴシゴシ・・・
「良い・・・自分でやる・・・」
「いえ、客(主人)に仕えるのがオレの仕事なので・・・」
バッ!
「オレは!女になんぞ興味はない!!」
「(じゃあ何しに来たんだ、コイツは・・・)」
「ここなら、アイツは絶対来ないからな・・・」
「・・・でも・・・」
ヒョイ!
「せっかく来たなら、楽しんでけば?」
「・・・」
その時・・・
「ちょっと、止めて下さい!」
「?」
スゥが声のした方を向くと、客の1人がメイドに絡んでいた。
「良いじゃん、やろうよポッキーゲーム♪」
「ウ、ウチではそういう事は・・・」
「・・・チッ、目障りな客だ・・・」
タッ!
「!」
「店長~!」
「逃げるなよ~、ご主人様の命令だ・・・」
次の瞬間、オムライスが客の1人の顔にぶち当たった。
バスッ!!
「ギャーッ!!」
そう、スゥがフライパンを振ってオムライスをぶつけたのだ。
「昼間っから見苦しいんだよ・・・サッサとお帰り下さい、ご主人様。」
「せっかく上手く焼けたのに・・・」
ちなみにオムライスを焼いたのは篤子だった。
「何だこのシツケのなってねーメイドは!!」
「表に出やがれ!!」
「かしこまりましたご主人様ー!!」
「ス、スゥちゃん・・・?」
「スゥ~、危ないから止めてよ~!」
「うるせえ!!ああいうヤツらはブッ飛ばさねえと気が済まねえ!!」
「・・・」
メイド喫茶の外
「篤子のヤツ、邪魔しやがって・・・あんなヤツら、オレがボコボコにのしてや・・・」
ダーン!
スゥの横にあった壁に、さっきの客が叩きつけられた。
「うわっ!!あれ、さっきのヤツら?」
客を叩きつけたのは、さっきのメガネの青年だった。
「責任取れよ、ドサンピン!キサマらのせいでオレは今気分が悪い。」
「!(さっきのメガネ・・・!!他の客とは雰囲気違うと思ってたが、何者なんだコイツ?)」
「クソッ、いきなり何だオマエは!!名前ぐらい名乗りやがれ!!」
すると、青年がどこからともなくケチャップを取り出し、オムライスに名前を描いた。
ブリュリュ~!
「ギャーッ!!」
「このテのサービスが好きなんだろ?2度と来るなよ、ご主人様。」
見物客から、歓声が上がる。
スゥはオムライスに描かれた名前を覗き込んだ。
『戦部夏樹』
「・・・戦部夏樹・・・?(・・・いくさべ・・・?何か妙に聞き覚えがあるような・・・)」
次回も前途多難です!!