FILE52:探偵・聡との出会い『3』
スゥと聡は、誘拐犯に指定された流星公園近くの廃ビルに向かっていた。
「黒沢さん、アンタ元刑事だって言ってましたよね。階級は何でした?」
「警視長だったよ。」
「じゃあ、オヤジの事知ってますよね?」
「知ってるも何も、オレが若手刑事だった頃の上司だよ、宮薗さんは。」
「上司だったんですか。」
「ああ、君のお父さんには良くシゴかれたもんさ。当時最年少で警視までなった叩き上げだったからね。今どのくらいの階級なんだ?」
「確か、今は大阪府警本部長です。実のところ捜査秘密課もオヤジが作ったんですよ。」
「ヘェ、じゃあ昇格試験も楽だったのかい?」
「息子だからって加減はしてくれませんでしたよ。大人でも難しいレベルの問題を平気で出しやがりましたからね、あのオヤジは・・・」
「まぁそれだけ君の事を信用していたんだろうね。」
「・・・長話スミマセンでした。」
「良いよ良いよ、オレも懐かしい思い出を思い出せたし。」
長話をしている間に、2人は廃ビルに着いていた。
ガチャ・・・
「よく来たな。」
篤子は下を向いた状態だ。
「さあ、篤子と荒川さんを解放してもらおうか。」
「残念だが、そういうワケにはいかねぇんだ。」
リーダーらしき男が指を鳴らすと、スゥと聡を男達が取り囲んだ。
「やっぱこうなるか・・・黒沢さん、援護お願いします。」
「任せろ。」
男達がスゥと聡に襲いかかる。
だが、スゥと聡は苦もなく男達を倒していく。
「何だコイツら、強え!!」
「オレはこれでも総合格闘技を習ってんだよ。そして黒沢さんは元刑事、武術の心得があって当たり前だろ。」
「クソ、この女がどうなっても・・・」
リーダーの男は篤子に拳銃を向ける。
が・・・
「って、いねぇ!?」
「アタシはここよ。」
リーダーが後ろを振り返ると、そこには篤子が立っていた。
篤子はリーダーの男にかかと落としをする。
ドカッ!!
「な・・・なぜ・・・」
「悪いわね、アタシはスゥのお父さんに幼少の頃から鍛えてもらってるの。あんな程度でアタシを拘束できたとでも思ってた?」
その後男達は逮捕され、事件は解決した。
余談だが後日、洋子が格闘技を習いたいと言い出してしばらく道場通いになったのは別の話・・・