FILE45:消えたダイヤの謎『6』
「『聖女の瞳』のレプリカは本物ソックリだったんですよね?それならスリ替えてもそう簡単にはバレません。」
「じゃあ、部屋が暗くなったあの時に?」
「いいえ、この事件の犯人はもっと大胆な方法をとりました。そう、部屋がまだ明るい時、みんなの見ている前でスリ替えたんです!犯人はダイヤを袖の中に隠してたんです、ボクがピーナッツを隠したように。しかしダイヤも30カラットもあれば結構な重さだ。そんな重い物が袖の中にあれば、当然動きは鈍くなる。犯人はすぐにでも、ダイヤを袖から出したかった。でもできなかったんです、犯人はこの部屋にカメラがある事を知ってましたからね。」
「しかしそれはカメラの死角に入れば済む問題なのではないかね?」
「その通りです。でもできなかったんです、犯人には!なぜならその人物は、カメラの前で水割りを作らねばならなかったから。そして、その犯人は・・・川窪栄介さん、あなたです!!」
「な、何を言ってるんだ君は・・・証拠もなしにそんな事言ったって・・・」
「証拠ですか?証拠は・・・」
スゥは栄介に向かって何かを投げる。
ブン!
パシ!
「それです。」
パッ!
「ピーナッツ?」
「違いますよ、証拠はピーナッツをキャッチしたこの手!今あなたはキャッチする際に右手を使った。つまりあなたは右利きです。ところが・・・篤子!」
篤子はビデオのスイッチを入れた。
ピッ!
「これは聖女の瞳に触る前の場面です。やはりあなたは右利きですね?ところが聖女の瞳に触った後は急に左利きになってます。でもそれは当然の事。なぜならその時、あなたは右袖にダイヤを隠してたからです。」
「ボクがビデオを見て感じた鈍さはこれだった。もしあなたが犯人でないなら、納得がいく説明してもらえますか?」
栄介はヒザをついた。




