FILE44:消えたダイヤの謎『5』
中嶋茂次はあれから、家の中をくまなく探していた。
「ダメだ・・・やはり見つからん。」
「まさか・・・本当に消えたというのか?あの世界の秘宝が・・・!?」
スゥはさっきから、防犯カメラの映像を繰り返し観ている。
ピッ、ピッ!
「どうしたの、スゥ?」
「引っかかるんだよ、どうも・・・」
「!?引っかかるって、何が!?」
「それがわからねぇんだよ。」
「おかしい、どう考えても変だわ!!」
「イヤ待てよ?犯人はダイヤを飲み込んだんじゃないのか!?」
「中嶋警部、30カラットってかなりあるのよ?飲み込めるワケないでしょ。」
「アホやなぁ、中嶋警部は。」
「ちょっと、茂次!アタシに恥をかかせないでよ!!」
「川窪!水割りもう1杯作ってくれ!!」
カラン・・・
「お、スマンな。」
「・・・!」
ダン!
「ど、どうしたって言うんだ?いきなり。」
「わかったんです、犯人のトリックが・・・そして恐らく、ダイヤはもうこの部屋にはありません・・・」
「な、何だ!?」
「どういう事だ!?一体誰なんだ、犯人は!?」
「その前に皆さん・・・ボクが手品を見せてあげましょう。これはトリックの説明です。」
スゥはテーブルにあるピーナッツの皿をチラリと見る。
他の人達もつられて見た。
「そこのピーナッツ・・・1つボクにくれません?」
一葉が近づき、ピーナッツを1つ取ってスゥに渡す。
「ども!ところで・・・雪吉郎さん、ゴルフとか好きですか?」
「あ、あぁ。好きだが?」
「それじゃ、ボクがこのピーナッツをボールに変えてプレゼントしましょう。」
クルッ!
フッ!
「うーん・・・はい!」
スゥが一連の動作をした後、彼の右手からボールが出て来た。
パッ!
「ど、どうやったの!?」
「簡単な事です。ボクが皿をチラリと見た時、みんなもつられて見ましたよね?その隙にここのボールを手に取り、息を吹きかけるフリをしてピーナッツを袖の中に落とす・・・そしてコッソリ右手に持ちかえれば、ボールに早変わりというワケです!」
「意味はわかるが、これが犯人とどうつながるんだ?」
「そっか!そういう事ね?」
「篤子も気づいたか。皆さんにお聞きしますが、もしボクが今の方法でこの2つのピーナッツをスリ替えたとしたら・・・ピーナッツがスリ替わった事に一体誰が気づくと思います?1人もいないでしょう、恐らく。つまり・・・犯人は『聖女の瞳』をスリ替えたんです!これと同じ手を使ってね!!」




