FILE04:間違いだらけの出席とり
オレと篤子が教室に戻った時、ほぼ同時に担任と思われる男が入ってきた。
「全員、着席!!」
オレ達は、それぞれの席に座った。
オレと篤子は隣どうし、笠美はオレの左隣、畑中はオレの前、青木は篤子の前になった。
「オレがオマエ達の担任をする事になった、軽井沢雅だ。今年一年間、オマエ達と楽しく過ごせたらと思っている。では、まず簡単に出席をとっておく。藍沢、赤城、朝霧・・・あしたおか・・・」
「先生、オレは『あすおか』っていうんです。」
オレは即、反応した。
「ス、スマン・・・『あすおか』か。メモしておこう。次は麻生、斑鳩、宇佐美、榎本、小倉、刑部・・・」
軽井沢の声が止まった。
「次は、かさび・・・」
「先生、『かさみ』です。」
「スマン、『かさみ』か・・・でも、次からは読めそうだ。北浦、久米、越路、近藤、瀬戸川、曽我、滝沢、戸越、丹羽、能代、萩原、はたけなか・・・」
「『はたなか』です。」
「スマン・・・穂波、松平、御堂、柳葉、吉沢。よーし、今呼んだ中でいないヤツは返事しろ!」
「いないヤツが返事できるワケないだろ・・・」
「あの先生、アホやな・・・」
「シッ、聞こえるよ!」
「次は女子だ。浅井、綾小路、五十嵐、宇津木、江戸川、あおき・・・」
「ウチ、『おおぎ』っていうんです。ホラ、阪神電車の駅の・・・」
「ああ、青木駅の『青木』か。メモしておく。次からは止まる事はなさそうだ。木ノ下、楠本、工藤、小嶋、真田、酒々井、水郷、妹尾、伊達、円谷、遠山、中森、二階堂、野上、灰原、服部、はまたに・・・」
「『はまや』です・・・」
「スマン・・・浜谷、水戸、毛利、山内、湯江、吉田・・・よし、全員いるみたいだな。では、廊下に整列!!」