FILE37:茶道家元毒殺事件『5』
「これで事件は解決したよ、警部。犯人の狙いはやはり家元だったんだ。そして・・・」
「ケーキには毒なんか入ってなかった!!」
「!?」
スゥ達は外に出ると、ケーキの箱を2箱台車に乗せて持って来た。
「一体どういう事だ!?毒はケーキに入ってなかったってのは!?」
「まぁ慌てないでください。今から事件現場の再現をしてみましょう!!」
「一体何を始めようっていうんだ?」
「家元は毒入りのケーキを食べたせいで死んだんじゃないの!?」
「そうです、これは毒入りケーキによる殺人事件です。」
「何なんだ!?今、毒はケーキに入ってなかったって言ったばかりじゃないか!!君の言ってる事はさっきから矛盾だらけだぞ!?」
「オレは間違った事は言ってません。今からそれを実証しようっていうんです。ご協力を!これは事件で使用されたのと全く同じケーキです。間違いありませんね?」
「は、はい。」
「これを3つに切ります。」
スゥはケーキを3つに切り分けた。
「はい、3つに分けました。事件の時と同じです。そして3つに分けられたケーキを食べ、家元は死に村山さんと神菜さんは無事だった・・・警部、朝霧、青木。ケーキを食べて。」
「た、食べるのか?」
「大丈夫、トリカブトなんて入れてないから。」
「おいしいよ。」
「ウチも同じく。」
哀と雅子は普通にケーキを食べた。
中嶋も恐る恐るケーキを口に入れる。
パク!
ガシャァ!!
「ゲホッ、ゲホッ。ど、毒が・・・毒が入ってた!?」
「!?」
「安心して、ワサビだよ。」
「何て事するんだ!?寿命が縮まったよ!!」
「犯人と同じ手を使ったまでだよ、中嶋警部。」
「おい、オマエらのには入ってたか!?」
「入ってないよ。」
「ウチも同じく。」
「?」
「こういう事です。まずナイフのどちらかの刃に毒を塗り、毒を塗った方の刃が必ず真ん中のケーキに触れるように切る。そう、このように・・・」
ニュリ!
スゥはナイフの刃にワサビを塗ると、全員の前でやって見せた。
ザク!
┌─┐
│ケ│
├─┤←包丁
│ケ│『毒』
├─┤
│ケ│
└─┘
■■■┌─┐
■■■│ケ│
■■■├─┤
『毒』│ケ│
包丁→├─┤
■■■│ケ│
■■■└─┘
「こうすれば、1つにだけ毒を盛る事が可能です。そうですよね?村山卓郎さん・・・!!」
スゥは村山を指差した・・・