FILE36:茶道家元毒殺事件『4』
「もし仮に?犯人の狙いが家元じゃなかったとしたら?犯人は村山さんか神菜さんを狙っていたとも考えられる!!候補者である村山さんと神菜さんが死ねば、当然別の人間が選ばれる!!」
「家元と村山さん、神菜さんの誰が死んでも得をする人物は七森さんだが、裏をかいて神菜さんだという可能性もある・・・」
「私じゃありません!私は村山さんに恨みなんか・・・」
「まだ犯人の狙いが村山さんだとは決まってませんよ?」
「ボロを出したな!?オマエは注射器を使って毒を注入して、家元と村山を殺すつもりだったんだ!!」
「私じゃありません、信じてください!!」
「わからんぞ。オマエだって弟子の1人だ、後継者を狙ってたんじゃないのか!?」
「あなただって候補の1人でしょ!?動機は充分じゃない!!オマケにケーキを食べていないのはあなただけよ!!」
「バカ言え、オレは別に村山やオマエなんか・・・」
「2人の内どちらかが毒を!?」
「まぁまぁ、まだ何も決まったワケじゃないんですから。問題は犯人がどうやって毒を盛ったのか・・・そして、狙いは本当に家元だったのか・・・?」
その時、哀が突然苦しみ出した。
「う!ぐっ・・・が!?ぐ、ぐ・・・苦しい。」
「朝霧君!毒入りケーキを食べたのか!?すぐ医者を呼ばんと・・・」
「警部、警部。朝霧君が食べたのは、さっき警部が買って来たヤツです。毒入りはビニールの中ですよ・・・」
「あ?」
「の、のどにつかえた・・・」
「バカヤロウ!!」
「もう!丸かじりなんかして。ちゃんとナイフで切り分けなさいよ。」
そう言うと篤子はケーキを分けようとナイフを持った。
「!」
スゥは何か感じたのか、ビニールの中のケーキを見に行った。
「どうしたんだ?明日岡君。」
「イヤ・・・」
「行き詰まっちゃいましたね・・・」
「そうだ、家元はお花にとても詳しい人だったんですよね!?」
「え?ええ。」
「家元が村山さんに贈った花って、何だったんですか!?」
「え?」
「イヤ、季節外れの花って何なのかなって思って・・・」
「ええと、あれは確か・・・何だっけな?」
「ああ、あれなら・・・金盞花ですよ。」
篤子は聞き終わると、スゥに耳打ちした。
ヒソヒソ・・・
「どうしたんだ、一体!?」
「これで事件は解決したよ、警部!!」