FILE33:茶道家元毒殺事件『1』
スゥ達は、病院のある部屋に案内された。
『急患専用治療室』
「毒殺!?」
「ちょっと待って、この人さっき死んだばかりなんでしょ?」
「そやのに何で毒殺やとわかるんや?」
スゥ達は口々に言う。
「被害者が食べていたケーキから毒物が検出されたんだよ。何だと思う?トリカブトだよ。」
「キンポウゲ科の植物で、非常に強い毒性を持つアレですね?」
「ああ、毒素を抜けば漢方薬としても使える代物だ。」
葉平の質問にスゥが答える。
「側にいた女性がケーキを怪しいと感じて、警察に通報したそうだ。それですぐわかったんだよ。被害者は桐沢香代子、65歳。茶道、桐沢流の家元だ。」
「家元?」
「お茶の先生の事ですよ。」
「で、問題のケーキなんだが・・・ケーキはお茶うけとして食べていたようだ。だが、お茶の方からは毒物は検出されなかったんだ。」
「おかしいよ。」
「何がだ、朝霧君?」
「お茶の先生なら普通、和菓子だよ。ケーキは合わないよ。」
「言われてみればそうだな。」
スゥ達が会話をしていると、ドアの向こうから人の声が聞こえて来た。
「何があったっていうんです?何で警察が来てるんですか!?」
「ですから、もうすぐ説明がありますから!!」
『七森宏之 家元の一番弟子』
「家元は・・・桐沢はどうなったんですか!?」
『村山卓郎 同じく家元の一番弟子』
「お願いです、教えてください。」
ギィィ・・・
「お気の毒ですが、桐沢さんは先程お亡くなりになりました。」
「何て事だ!こんな日に・・・!!」
「おい、頼むよ。一目家元に会わせてくれ!」
「すみませんが、それはできません。遺体はこれから司法解剖にまわされます。」
「解剖!?」
「何でそんな事を!?」
「被害者が食べていたケーキからトリカブトの毒が検出されてます。つまりこれは意図的な殺人の可能性があるんです。」
「バカな!こんなガキに何がわかるっていうんだ!?」
「そうですよ、第一何でこんな所に高校生が7人も?」
スゥと篤子は警察手帳を取り出した。
バッ!
「オレは警視庁捜査秘密課、明日岡スゥ警視正だ!!」
「!?」
「アタシは同じく警視の浜谷篤子!!そしてこの5人はアタシ達の仲間です。」
「協力していただけますね?」