FILE32:中嶋からの協力要請
放課後になると、桜菜の元にクラスメイト達が集まって来た。
「桜菜さんって、どこから転校して来たんですか?」
「両親は何をしているんですか?」
「兄弟はいますか?」
「好きな人とかはいますか?」
口々に質問をするクラスメイト達。
そこにスゥ達もやって来た。
「そんなに一気に質問したら、答えにくいやろ?」
突っ込みを入れる雅子。
「良いわよ。全部答えてあげる。アタシの生まれは青森、育ったのは長野。」
「リンゴの名産地と、スキーで有名な県ですね。」
葉平がメモ帳を開きながら言う。
「そうよ。次に両親の事だけど、アタシには母親がいないの。アタシが8歳の時に亡くなったわ。」
「父子家庭ってワケか。」
「そうよ、だからアタシは父に育てられたわ。父は小学校の先生をしてる。次に兄弟だけど、アタシには兄がいるわ。滅多に帰って来ないけどね。最後の質問、好きな人がいるかどうかだけど・・・既にこの近くにいるわ。この人よ。」
そう言うと、桜菜は雄也を指差した。
「やっぱ笠美だったか。」
「ええ、一目惚れってヤツよ。」
そんな会話をしていると、軽井沢が教室に戻って来た。
ガラッ!
「明日岡、浜谷、青木、畑中、笠美、朝霧!呼び出しだ!」
「呼び出しって、誰からです?」
「中嶋茂次って人だ。オマエら、何かやらかしたのか?」
軽井沢の言葉に、スゥ達は一瞬沈黙した。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「そんなワケないでしょうが・・・」
スゥはそう言うと、ため息をついた。
職員室で、スゥ達6人は中嶋と会っていた。
なぜか桜菜もいる。
「警部、頼むから連絡はメールでしてくれって言っただろ?何のためにアドレス教えたんだよ。」
スゥは文句を言っている。
「スマンみんな。携帯の電池が切れてたもんでな。」
中嶋は平謝りする。
「まぁ別に良いけどさ・・・で、こんな時間に来るって事は、また事件か?」
「話が早いな。そうなんだ。今から来てくれるか?」
「ああ、良いよ。みんなどうせヒマだし。な?」
篤子達も頷く。
「それは良かった。ところで・・・一緒にいるこの子誰だ?」
中嶋は桜菜の方を向いて言う。
「さっきからずっとおったやないかい!!」
雅子が叫んだ。
「今日この学校に転校して来た、成瀬桜菜です。」
「成瀬君か。オレは中嶋茂次、階級は警部だ。よろしくな。」
「よろしく。」
「じゃあ、そろそろ行くか。」
スゥ達7人は、中嶋について行った。