FILE03:資格を与えられた者達のクラス
青木正子は、クスリと笑っていた。
「篤子、ちょっと来い。」
オレはそう言うと、篤子の手を引っ張った。
「キャ!」
オレは篤子を廊下へと連れ出した。
「ど、どうしたの?スゥ・・・」
「篤子、よく聞けよ。笠美雄也、畑中葉平、そして青木正子・・・コイツらは、それぞれの部門のエキスパートだ。」
「え?え?」
篤子は、何が何だかわからないらしい。
「まず笠美雄也だが、コイツは某有名企業、笠美財閥の御曹司だ。愛用のパソコンで、いろいろな情報を得ている。次の畑中葉平は、メモリング、つまり記録のプロ。そして最後の青木雅子は、瞬間記憶の能力者だ。」
「し、瞬間記憶!?」
「ああ、一度見たものは二度と忘れない。便利でもあるし、やっかいな能力でもある。」
オレは一拍おいて、話を続けた。
「あの3人がそれぞれ持つ特技・・・それらはすべて、ある職業に必須の力だ・・・何なのか、わかるか?」
「探偵・・・ね。」
「そうだ。おそらくこのQクラスの創設者が、伝説の名探偵なのだろう。つまりこのクラスの『Q』の意味は・・・」
オレは、静かに答えた。
「『クオリファイド(Qualified)』・・・つまりこのQクラスは、『資格を与えられし者』のクラスってワケだ・・・」
「じゃあ、アタシ達がこのクラスに選ばれたのも・・・」
「そうだ。オレ達2人も、あの3人と同じく、探偵にふさわしい能力を持っていたからだ・・・」
オレは篤子の手をにぎり、Qクラスのドアを開けて戻っていった。