FILE20:最初の依頼『5』
「おい、聞き込みは終わったか?」
中嶋警部が後ろを向いて叫ぶと、有能そうな刑事が走って来た。
「はい、中嶋警部!関係者への聞き込み、一通り終えまし・・・たわっ!」
ズッ!
ドテッ!
その人は急につまずいてコケた。
「コケた・・・」
「コケたわね・・・」
「コケたな・・・」
「コケましたね・・・」
「・・・大丈夫か?江茉・・・」
「はい、大丈夫です・・・わっ!!」
バタッ!
・・・またコケた・・・
この刑事さん・・・
有能そうに見えるけど・・・
間違いなく天然だ・・・
「・・・と、このようにコケまくっているが、コイツがオレの部下、女刑事の江茉弓香だ。」
「初めまして!中嶋警部の部下の江茉です。よろしくお願いします・・・わっ!!!」
ドシャッ!!
またしてもコケた・・・
この女刑事さん・・・
やっぱりどう考えても天然だ・・・
「で?どうだった?」
「はい。事件当夜、屋敷にいたほとんどの人にアリバイがありました。ですが、アリバイが曖昧な人が3人いました。」
「ほぅ、それはどいつだ?」
「執事長をしている稲垣直久さん、メイドの西風芳香さん。後1人は・・・綾小路梨華さんです・・・」
オレ達は、少し表情が曇る。
綾小路まで容疑者なんて・・・
まさか、アイツが・・・?
オレは一瞬そう考えたが、すぐに自分の頭をゴツンと叩いた。
バカな、一瞬でもオレは何を考えてるんだ!?
綾小路が犯人なワケないだろ?
彼女はきっと、オレ達が解決してくれるのを待っている。
だったら、オレがこの事件の真相を解き明かしてやるぜ・・・
この世に解けない謎なんて・・・
チリ1つだってありはしないんだからな!!




