FILE02:謎めいた3人のクラスメート
オレと篤子は、1−Qの教室の扉をくぐった。
「・・・なんか、緊張するね、スゥ・・・」
「そうだな。」
篤子に比べると、オレは少しばかりこういう状況に慣れている。
「それにしても、変だよね。」
「何がだ?」
「だって、中学校までは、『1−1』『1−2』『1−3』ってクラス分けされてたじゃない。なのに、どうして高校になって、『1−A』『1−B』『1−C』ってクラス分けになるの?」
篤子の疑問ももっともである。
だがオレは、その理由がわかっていた。
「ああ、おそらくそれはだな・・・」
「このクラス分けは、将来なりたい職業別にクラス分けされているんだよ。」
オレが篤子に説明する前に、メガネをかけた角刈りの少年が、パソコンをいじりながら答えた。
「・・・オマエ、誰だ?」
するとその少年は、フッと笑った。
「自己紹介が遅れたね。ボクの名前は笠美雄也。笠美財閥の御曹司さ。」
「ああ、あのゲームメーカーの息子だな?」
「そういう事。」
笠美雄也は、フフッと笑った。
「ところで、君達の名前は?」
「オレは明日岡スゥだ。」
「アタシは浜谷篤子よ。」
「『神童』と呼ばれ、日本警察でも手に負えない難事件を次々に解決してきた、IQ測定不能の名探偵のカップル・・・小生のメモにはそう記録されている。」
不意にオレ達の後ろから、1人の少年が現れた。
「ああ、失礼。小生は畑中葉平。以後、お見知り置きを。」
畑中葉平は、丁寧にお辞儀をした。
「メモ魔ってワケか。じゃあ、クラス分けの表全部メモってある?あったら教えてほしいんだけど。」
「ちょっと待って、それは・・・」
「1−ABCDEFG、HIJKLMN、OPQRSTU、VWXYZ・・・一年から三年まで共通。すべて職業別に振り分けられたクラス。あ、ウチは青木雅子。よろしゅうにな、明日岡スゥ君、浜谷篤子ちゃん、笠美雄也君、そして畑中葉平君。」
青木雅子という少女は、クスリと笑った。