FILE19:最初の依頼『4』
事件発生後、警察は結構早く来た。
それはそうだ。
綾小路の家に着いた時、オレが既に警察を呼んで付近を見張らせていたのだからな。
え?
なんでオレにそんな権限があるかって?
それについては、来ている刑事に説明してもらう事にしよう。
「さて、あしたおか君。事件について話してくれるか?」
「そりゃ、今までと同じくちゃんと協力するけどさ・・・いい加減にオレの名字覚えてくれねぇか?中嶋警部。」
「ス、スマン、明日岡君。この所君に会ってないから、ついな・・・」
オレに謝ったこのオッサンが、中嶋茂次警部。
初等部の頃から世話になってる刑事だ。
つっても、ただ事件解決に貢献してるだけだがな。
「ワザとだったら、オヤジに報告するよ、中嶋さん?」
「そ、それは勘弁してくれ・・・」
中嶋警部は謝った。
さて、なぜオヤジの事を聞いて警部が謝ったのかというと、オレのオヤジは警視庁の鬼刑事だからだ。
ちなみに、オヤジはオレと名字が違い、宮薗義啓という。
その理由は、親子である事で捜査が不利になる事も多いからなのだ。
とりあえず、現場検証が始まった。
部屋はドアにカギが掛かっていて、完全な密室。
しかもそのカギは、部屋の中にある分厚いノートの下にあったのだ。
さらに、本棚が倒れている。
普通の人なら、こんな状況では自殺か事故死だと思うだろう。
しかし、オレはそうは思えなかった。
明らかにこの部屋は不自然だったからだ。
そういえば、ご主人の指が示す先に、なぜかマンガがあったな。
タイトルは確か、M:AR。
週刊少年サンデーで連載されていたマンガだ。
なぜ、ご主人の指はマンガを指差していたのだろうか?
謎はさらに深まりそうだな・・・