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留守を預かる自宅警備員の少年と猫

作者: 月兎

 吾輩は猫である。名前はまだない。


 なに?パクリではないかだと?しょうがないではないか。我輩の一人称は我輩なのだし、我輩には名はまだないのだから。




 なぜ我輩があの有名な書籍のワンフレーズを知っているかだと?はぁ、仕方ない、説明してやろうではないか。


 我輩の主をしている少年は所謂文学少年と呼ばれるものらしい。いつも本を読んでいる。目にはメガネというらしい変なものをつけている。よくわからない四角い箱の前に座ってカタカタ言わせてりもしている。こういうののことを文学少年というのだと三丁目のミケから聞いた。


 ミケとは誰だって?


 ミケも知らないのか。ミケは三丁目のボスだ。たまたまあっちまで散歩に行ったときに仲良くなったのだ。


 おっと、話が逸れてしまったな。つまり、我輩の主は頭がよろしいのだ。我輩としても鼻が高い。何?我輩が威張る事でもないだと?わかっておらんな、主の事は我輩の事だ。


 そんな主は我輩にいつもいろんなことを教えてくれている。さっきのワンフレーズもそのうちの一つだ。他にもたくさんあるぞ。




 何だその顔は。何?ありきたりな理由でつまらないだと?ふんっ、だったら聞くんじゃない。


 そもそも貴様は何なんだ。貴様のような半透明な人間なんか主に聞いたこともないぞ。ユーレイ?何だそれは。今度ミケか主に聞いてみようか。だが主には我輩の言葉が通じないのだから、答えは返ってこないかもしれないが。


 そういえば、今日の夕餉は何だろうか。




 僕は猫を飼っている。つい一月ほど前に路地裏で雨に打たれて震えていた。夏目漱石の代表作ともいえる小説にちなんで名前はつけていない。


 その猫は結構好奇心が旺盛なようだ。僕が本を読んでいるとその本を覗き込んできたりする。僕が話しかけると相槌を打つように鳴いたりもする。結構賢い猫なのだろう。


 今度は何しているのだろうか?何もない空間に向かってニャーニャー鳴いている。そういえば猫は視えるって言うけど本当なのかな?まぁ、ただの都市伝説、冗談だよね。


 ……何も、いないよな?


 ん?どうしたんだろう。今度は僕に向かって鳴いている。お腹がすいたのかな?まったく、まだご飯までは時間があるのに食い意地がはってるなぁ。




 あぁ、やはり勘違いされてしまった。我輩が欲しいのはユーレイについての説明であって、食事ではない。


 なぜ主たちは我輩が話しかけると食事だと思うのだ。この間だってそうだ。背中をかいて欲しかったのに、おやつを出されたぞ。


 いや、一応いただいてはおくがな。うむ、美味い。


 まぁ、ユーレイについてはまた今度という事にしておこうか。




 おいしそうに食べてるな。さて、何をしようかな。んー、ネトゲでもするか。この間は寝オチしてしまったんだよな。今日はそんな事ないようにしておこう。


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