時を操る婦人像 瓦解編 Vll Vlll
藤堂さんとゆうきくんのあんなシーンを見てしまったら私。もう。
『興奮するじゃないのぉおおお!!』
マンホールと三角コーンで興奮するユキにとっては最高のごほうびといえた。
『赤飯炊くわよ!ご飯三杯はいけるわ!!』
別方向に暴走していた。
『あんなのがいいんだぁー?へんたいさんだねー?』
アイリが恍惚な表情でほほを撫でながら言う。
『あんたが変態じゃないの?ホモは芸術よ♂』
『あっはー出来上がっちゃってんねー!』
『うるさいぞ二人とも静かにしろ』
藤堂がキリッとしためつきでそう指摘するとユキはしょぼーんとしてみせた。
ゆうきはのほほんとしているように見えるが内心、どうしたものかとそわそわしており、今後時を操る婦人像に接触するにはどうしたらいいのか考えていた。
『ゆうき、どうするつもりだ。なにか悩んでないか?』
藤堂はそんなゆうきを見透かしていた。
『インフェルノ羽生でしたっけ?あの男に相談したいことがありまして』
『なんだ?』
ゆうきは足を組み替えていった。
『婦人像というマジックアイテムがありまして』
『時を操れるんだかなんだかいってたな、あれは本当なのか?きみが言うのだから本当なのだろうが神の領域だな』
研究員の前田が失踪した研究所襲撃の日、以来ふれられなかった婦人像について話すゆうき。
『どうしても、もどしたいんすよ!』
『漢の目をしているな』
『押忍』
『ならば一肌脱ごう』
すこし時間をおいて部屋をでていく藤堂がむかったさきはインフェルノ羽生のもとだった。
『何のようだ』
『あなたに頼みたいことがある』
『覚悟がみてとれるな』
『無条件で婦人像をつかわせてほしい』
『だが、断る』
「だが断る」とは本来ッッ!!
自分に対し有利な条件を出したいけすかない奴にッ!!
「NO」を叩きつけてやることだッ!!
ただ単に断るときに使うものでは断じてないッッ!!
どこかの先生がいっていた、台詞である。
『貴様、きやすく婦人像のことをくちにだすな』
マコトのもっていた魔法のワインをグラスにいれて転がしながら言う。
『まずはタワーマンへの誅伐が先にきまっている。我々の理念に反したものへの制裁は絶対だ』
つまるところ、婦人像への接触はだめだということだと理解すると藤堂は迷わず抜刀して居合術のひとつ壱の太刀・絶離をはなった。
その不可視の神速の刃は次元をも断絶し分離する。
故に絶離。
羽生のくびがふきとぶと生首が空中で炎になって消えた。
王手飛車取
任意の対象に二者択一をせまり、片方の選択肢を破棄、獲得させる能力。
二者択一を宣言されると動きが取れなくなり、どちらかをえらぶと解除される。
『腕一本か引くかだ』
『だが、断るッ!!』
藤堂の腕が吹き飛ぶ。
歯が砕けんばかりに噛み締める。
この世界では魔法を使うとその事象に見合った代価として等価の魔力が消費される。
この王手飛車取は羽生の想像を越える魔力のキャパシティが必要だった。
がくんと魔力をもっていかれた羽生は片膝をついた。
『存外、数多の武士を屠ってきたが、気分は悪くなかったものだ。今回を除いてな』
炎がくびからうえへともえあがり頭が再生された。
『不死身か貴様』
『どの口がのたまう』
再生しつつある藤堂の右肩をみて羽生は刮目してみせた。
藤堂と羽生がいっきうちをしているのをしっていたゆうきは、こそこそと婦人像のあるゲートを利用して直接的にじかんをあやつろうとしていた。
『なんでこんなに警備がおろそかなんだ?』
一人で呟きながら考える。
答えはかえってこない。
数多のトラップや警備をすりぬけるのかとおもっていたら、なにもなくて拍子抜けした。だがかまわない。時を戻すだけだ。
婦人像にたどりつくまで30分程度かかったが屁でもなかった。
『婦人像か、懐かしいな。魔力をこめるだけだもんな・・・』
不思議な気分に浸る。魔力をこめるだけでいままでのことがなかったことになるのだ。
魔力をひねりだして注入する。
婦人像がかがやきだすがなにもおこらない。
『何故だ!?』
ゆうきは困惑していた。ときが戻れば全てが良くなると考えていたからだ。
『なぁ・・・!うごいてくれよ!』
『動け!動け!動け!動け!!うごいてよぉおおおお!』
初号機なら暴走していただろうが、うんともすんともいわなかった。
そんな時、絶望しているとバハムートとイシスがやってきた。
『無駄だぜ☆』
『既に消費期限が過ぎてるにょーん』
『どういうことだ・・・!』
『国と世界が良くなるよう時の歯車を回し続けてきたのが俺たちChronosだったぜ☆』
『だが、あるとき時の歯車が壊れもどせなくなっちまったぜ☆』
『なおすためにいろいろと試行錯誤しているにょーん』
『なんてことだ!!』
くそっと地面を殴り付け、拳の形を地面に刻むゆうき。
そうこうしていると、幸運卿の言葉があたまをかすめた。
『婦人像を隷属させろといっていたような・・・』
ゆうきは右腕にはめている隷属の腕輪に魔力をこめ発動させ婦人像に押し付けてルーンを刻んだ。
隷属の腕輪は眷属にしたもののスキルなどを解析し、利用できる副産物的能力がある。
それをしらなかったゆうきの脳裏に時のもどしかたが浮かぶ、がそれには自分が時の歯車になるしかないと感覚的にしった。
『どうしてだよ・・・!くそっ!!』
全て良くなると思ったのにこのざまだ。
どうこうするか悩んでる暇もない、こいつらふたりが裏切り者を許すとも限らないし、さっさとやるならやらないと殺しあいになる。
『時よ!戻れ・・・!』
逡巡して不承不承ながら試行する。
『てめえ!無駄なことするなだぜ☆』
ニヤリとしてみせたゆうきは魔力をしこたま婦人像にぶちこんだ。
青をとおりこして赤く光る婦人像。
『動けやぁあああ!婦人像ぅうううう!!!』
ゆうきを中心に周囲の景色が360度の映画館
のようにノイズがはしりながら走馬灯のようにうつりかわり魔力の暴走は収束した。
時は戻り、ロマンチック忍者がゆうきをたすけにいく場面、アイリを奮い立たせた後に戻るとロマンチック忍者はいった。
『はて?それがし何のために動き回っていたのか?』
『え?ゆうきのためでしょ?』
『分からぬ。記憶がそこだけ、欠損している、液状のドット抜けのように』
婦人像を一度起動したアイリは記憶がたもたれたままだったが、ロマンチック忍者はなんのことかわからなかった。
ときを同じくして別の場所では。
『誰かがときをもどしたな』
インフェルノ羽生がそういうと日本酒をおちょこで飲んだ。
無音高値と剛三も、うむと相づちをうっていた。なにかが起きているとたげこの三人だげが 気づいていた。




