修練の塔
『講義はここまでにして』
ヤン教授は講義をおえると実地訓練に移行することにした。
犯罪者を利用して獄囚の悪意によって魔物を生成して運用するダンジョン、人工的につくられたそれはコキュートスとよばれる塔だった。
魔物があふれだしてくるのを倒して訓練するのだ。
階層ごとにつよい魔物をうみだすよう悪意に満ちた囚人を管理しているのがダンジョンマスターとよばれる教授のチームである。
『よいですか、コキュートスはもはや修羅場の宝庫となっています。死ぬ可能性を考慮しておいてください』
ゆうきは冒険ににたなにかにわくわくしていたが反面アイリは恐怖といらだちをかんじていた。
ユキからの定時連絡でデビルオクトパスがほぼ壊滅状態になっていることがしらされた。
藤堂は悪がほろびることに安堵したがそれと同時にこのさきのダンジョンへの不安感をつのらせていた。
不死身ではあるが痛みはかんじるのだ、自我が崩壊しかねないダメージをおうとまずいとかんがえていた、その反面、ゆうきは高速自己治癒の能力をそなえているのでマゾ気質がたたってわくわくしているのがグループの難題とも言えた。
コキュートスへとむかうことになった一行は修練をおこなうため上階をめざすことになるが、現在最上階の死刑囚ゾーンでは魔物が氾濫してとうから溢れだしてしまっているので、それを制御しなければならない。
純然たる悪意にみちた巣窟はぎゃくにいえば科学と魔術の進化の糧となる宝庫と言えた。
たおした魔物からドロップする戦利品は未知のものがおおく固有の能力がそなわっていたりする。
たとえばコキュートスでしんだ人間の装備していた万年筆が魔物に食され魔力を帯びることで自動書記の能力や筆跡が燃え盛る炎の印字といった固有のスキルが付与されていることもあるのだ。
それぞれ装備をととのえ修練と科学と魔術の進歩のために勇往邁進することとなった。
修練の獄囚のなかには特別悪意に染まった純粋なるサイコパスが集められ管理されている。
そのなかでも忌み嫌われた存在がいた。
バイキンの王様BYEKINGMAN
魔力で細菌をあやつりひとをくるしめることで愉悦し魔力をたかめる悪徳の権化。
中島俊樹である。
このおとこ卑劣にして最低であり暴力をふるうことになんら躊躇しない、むしろ自己を正当化し執行する純粋なる悪であった。
俊樹は獄中でくさったぱんにわく細菌をあやつり看守をころした。
そこから教授や看守が防護服でちかづくも魔力と魔物を使役する天性の才能でコキュートスの王様となっていた。
ダンジョンマスターがそれをゆるすわけもなく、中島俊樹を廃除することとなったのが今回の訓練のいきさつだ。
中島はなげいていた。
『どうしてだ!どうしてみんなぼくをいじめるんだ!ゆるさないゆるさないゆるさない』
クモの巣からとったくもの足をいっぽんずつぬいていく俊樹。
『おまえらがわるいんだ。ぼくのいばしょうばったんだから』
魔力が手と手の間に収束し始める。
蜘蛛の死骸に魔力と俊樹の純粋なる悪意がまじり蜘蛛の魔物に成長した。
『かあさん!かあさんかあさん』
母親と錯覚して認識する俊樹の精神状態は錯乱していた。
だが衰弱はせず怒りと憎しみだけがかれをつきうごかした。
『きめた!クイーンスパイダーだきみのなまえわ!』
『かあさん!』
中島はクイーンスパイだーによりかかるとこしをふりつけ勃起したなにをなぐさめた。
『はぁはぁはぁ』
頭を撫でるクイーンスパイだー。
『ぼくをいじめるやつはみんなころしてよね!かあさん!』
俊樹のマザコンはどがすぎていたがそれもしかたがなかった。
彼のおいたちは片親でひとりっこ裕福であまやかされそだったからだ。
『さぁしんにゅうしゃをはいじょしよう』
卑劣な戦いが始まろうとしていた。




