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「太一」



 夜祭が終わった後も、まだ俺は余韻に浸っていた。

 学祭が終わって休みを挟んだが、その余韻は続いていて、暫くぼーっとしていた。


 そんな調子で学祭の片付けをしていた時、チュージがニヤニヤしながら話しかけて来た。


「太一」

「おう」

「俺、上澤と話したぜ」

「マジ?」


 少しだけぼんやりとした感覚がすっ飛んだ。


「夜祭だったしさ、こういう時しか話しかけてられねーじゃん?」

「どうだったの」

「俺、友達になれる気がする」

「なんだよそれ」

「なんか気になっててさ。どうせ知らないだろうって思ってたし。で、聞いたら、え? 中山君だよね? って言われてさ。何で何でって。俺ら話した事ないよねって。で、聞いたら何か学校でラグビーの試合やってるの見た事あるって言ってて。でさ、俺もちょっと嬉しくなって驚いてたら、なんか上澤不思議そうな顔してて、私たち同級生だよね? って言ってきて。まあそうだよなって言って、そしたら上澤ちょっと笑っててさ」


 こんな嬉しそうに話すチュージは初めて見た気がする。


「上澤って、マジで朝ドラにヒロインイケる気するわ」

「お前、朝ドラ見ないって言ってたじゃん」

「上澤ともっと話してみたいって思ったの。俺、卒業するまでに上澤と友達になるわ」

「それフラグ立てようとしてない? てかもう立ってるよな?」

「今ならK組の女子全員と話せそうだもん」

「なにそれ? K組の女子は関係なくね?」

「友達になるには、周りも知っとかないとな」

「そうなの? よくわかんないけど。でも仲良くなったら俺も誘ってよ。合コンやろーぜ」

「それはいいけどさ、上澤の友達ってブスしかいねーぞ」

「お前、絶対友達なれねーと思うわ」


 チュージと話すと、リセットされた感覚になって、もやっとした物が吹き飛んだ。


 多分、感じていたのは学祭ロスで、けどそんなのどうでもよくて。学祭の はしゃいだ気分はそのままでいいんだと思えた。チュージとバカ話をしていると亮平がやって来た。


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