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武一、ミスコンを企画する。  作者: よしの
アゲ高学園祭 2日目「体育祭」
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「1hフォーク」その2


 【亮平】


 この『1hフォーク』がアゲ高の恒例行事となってからは生徒の間でも独自のやり方が構築され、最初から輪に入らない者もいたりするなどいくつかパターンが出来た。


 ただ男子と女子ではその思惑が少し違っていて、まず女子の場合に一番多いのが最初から参加するパターン。最初に輪に入る者は男女共出席番号順に並ぶので必然的に相手があてがわれる。ある程度踊って疲れたら輪から抜けて、後は終わるまで見てればいい。もし誰かから誘われればまた入ればいいし、気が乗らなければ断ってもいい。一番安パイなパターンと言える。もう1つは途中参加の後攻パターン。これは男子に誘われる事が前提なのでそれが期待される子に限定される。この途中参加型は『待ち』と言われ、それが出来る子の数も限られていた。 


 そして男子の場合。男子の場合も多いのは先攻タイプで最初に並んで強制的にペアになる。これが一番怪我をしなくて安全だからだ。が、いわゆる可愛い子は『待ち』をしていて輪にいない事が多いので先攻タイプにはどのタイミングで輪から抜けるかが重要になった。可愛い子が入ってくるまで輪にいるのが先攻タイプの戦法だが、ペアになった女子に促されて輪から抜けなければならない可能性もあった。


 まず1hフォークでは1時間ずっと踊り続ける者はほとんど居ない事と、例えいたとしても女子から頼まれればいずれ出るハメになる。また入りたければ誰か誘えばよいのだが女子には断わる権利があった。つまり男子には一度抜けると輪に入れない可能性があったのだ。で、もう1つの途中参加型は目当ての子の動向を見ながらタイミングを見て誘いに行く。これも最初は参加せずに待ってから女子を誘いに行くので女子と同じく『待ち』と言われた。で、その『待ち』をして目当ての女子を誘いに行くのだが、大体そういう子は人気があって他にも狙っている奴がいるので、特に人気がある子の場合は、その子の前に男子の列が出来る事もあった。


 この現象を生徒達は女子の『待ち』を待つ男子の『待ち』という事で『待ち待ち』と呼ばれた。また『待ち』をしている女子を誘えたとしても断わられる可能性があるので、この後攻の戦法である途中参加型にはリスクがあった。それでも男子が『待ち』を選ぶのはアゲ高男子としての意地があるからだろう。その数は決して少なくなかった。


 方法として理想的なのは目当ての子が輪に入ったタイミングで、同じクラスとか普段絡みのある適当な女子に声を掛けて一緒に輪に入る事だ。そしてその子まで行き着いてペアになる。このやり方は『タイミング』と言われ実行する時は『タイミングかける』と言っていた。けどこのタイミングにも1つだけ落とし穴があって、特に人気がある女子には『ワンポイント』と言われる手法があって、ペアで入った男子と輪に入って1フレーズ踊りをすると、またすぐに輪を出るという方法があった。で、『待ち』をしている新しい男子と輪に入って、出てを繰り返す。これは特別に人気がある女子にのみ起きる現象で『待ち待ち』をしている男子、自分に好意を持ってくれている男子に対しての女子側の配慮として生まれた手法だった。この「ワンポイント」の由来は野球からきているようで、強打者に対する投手交代から引用したものらしい。



「タイミングかけたけどワンポイントされてダメだったー」


 1hフォークでは、よく耳にする会話だった。


 このアゲ高独自のフォークダンスのおかげで、寧ろ目当ての子に行き着けなくなったのでは? という疑念が浮かんではいたが、生徒達も薄々その事実には気づいてはいたが、このアゲ高独自の特別行事に反対する意見は聞こえなかった。



 大方の予想通り、大門と結城は最初から輪に入らない『待ち』を選んだ。後は彼女らがワンポイントを適用するかしないかだ。もしワンポイントを行わず輪に居続ければ外にいる男子はタイミングをかける為に誰か相手を探さなければならない。1hフォークに一番重要な事は何か。そう、駆け引きだ。


 それは男女共に同じ事ではあるが、男子と女子ではその思惑が違った。そこには小さくないズレがあった。


 けど閉会式を終えた後で行われるこの1hフォークには、ある種の高揚感を持って臨めた。しゃーねーな、最後やったるかー的な。たかがファークダンスであっても1時間踊り続けるというのは過酷で体力的な事もあるし、それにプラスして精神面のタフさも必要になる。寧ろ多くの生徒はここまで来たら当たって砕けろ的な気持ちで臨めた。だから思ったより『待ち待ち』を選ぶ奴も多かった。


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