「1hフォーク」その1
【亮平】
アゲ高では体育祭の最後に締めとしてフォークダンスが行われる。大体どこの学校でも行われるだろう恒例種目だ。けど他と少し違うのはフォークダンスを踊る時間の長さだろう。
フォークダンスは夕暮れ前の最終種目として行われ、それが日没まで続けられる。その時間が大体1時間という事で「1hフォーク」と呼ばれた。
普通なら10分程度で終わるものをアゲ高では1時間やる。なぜそうなったかについては諸説あるが、やり始めた当時の校長が高校生たちの踊るフォークダンスを見るのが好きだったらしく、年頃の男女が手を取って踊るその光景に青春の息吹きや甘酸っぱさを感じるそうで、恥ずかしがったりダルそうにしながら踊るのも全部ひっくるめて大好物だったらしい。それでその光景をもっと長く見たいと始まったのがきっかけらしい。
そして、フォークダンスをやるのは一番最後という事もあり、どうせなら日が暮れるまでやってしまえという事で、生徒達もあっさりとその提案を受け入れ現在の形になった。オクラホマミキサーも1時間続くようにそれように編集されて、踊る生徒たちの輪の中心にはキャンドルが設置され、その周りを囲って踊る姿は日が暮れていくに従って幻想的になり、感傷的な空間が出来上がった。
そんな事もあって1hフォークはアゲ高の伝統として受け継がれている。ただフォークダンスと言えども、踊ってる方はさすがに1時間踊りっぱなしというのはキツく、この1hフォークにはいくつかのルールがあった。
まず、ずっと踊り続ける必要はなく途中で抜ける事も出来る。抜けた者はそのままみんなが踊っているのを見ててもいいし、また参加してもいい。ただ勝手に出たり入ったりしていると人数が噛み合わなくなるので、これを防ぐ為に輪から抜ける時、また入る時もどちらの場合も男女ペアでなければならない。こうする事で男女比は均等を保てる。ただこのルールには少しむず痒いものがあって、抜ける時はまだいいが、入る時には誰か相手を見つけなければならない。そこに高校生らしい葛藤と青春のくすぐりがあった。誘うのは男女どちらからでもよいが男子から女子を誘うのが暗黙のルールとして存在し、この男女間で繰り広げられる空気感が周りで見ている者、特に大人達からしたらたまらないらしく、誘った方も誘われた方も好きまではと言わないが互いに好意がない訳じゃなく。そういった関係性が見ている者からしたらむず痒くてたまらないのだ。
そういった事もあって、この1hフォークにはちょっとした告白大会の様相を呈していたりもした。




