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武一、ミスコンを企画する。  作者: よしの
アゲ高学園祭 2日目「体育祭」
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「チュージと亮平」その2


 【チュージ】


 学年対抗リレー。オールスターと言われるリレー種目の女子の部の時間が迫って来た。


「あっ」とグラウンドの方を見ていた亮平が何かに気づいた。


「女子って何気に最強じゃね?」


 亮平の視線の先にはクラスから1人だけ選ばれた女子の精鋭達が並んでいる。


「A組が大門でB組が結城でしょ。あと三月と。K組は上澤みたいだな。速いのかどうかわかんないけど」

「新田が居なくねーか?」

「三月とクラス同じだからな」

「勿体ないよな。三月とクラス違ってたらオールスター余裕で出られたのにな」

「けどクラス対抗だと有利だぜ。アイツら決勝残ったし」

「待って。ヘッドいんじゃん。ヘッドって走れんの?」

「わかんね。やっぱ走る時はヘッドホンつけねーんだな」

「授業中もつけてねーだろ?」


 男子はクラス代表で武一と太一が出ていて、太一は野球部ではずっと補欠だったが、代走の切り札として活躍していただけあって足だけはバカみたいに速かった。


 クラス対抗の決勝戦の前に学年対抗のオールスターが行われて、女子はほぼ最強の陣容を揃えた3年が優勝。男子は不甲斐なく、若さの1年に敗北した。


「俺、何気に教師リレー好きなんだよな」


 オールスターとクラス対抗の決勝戦の間に行われるのが教師リレーといわれる種目で、続けて走る生徒への配慮として行われる余興でしかないが、いつもそれなりに盛り上がる。出場するのは各クラスの担任と副担任で、それぞれの学年で担任と副担任の2チームに別れた計6チームで争われる。若いチームが有利なので、教師たちも日頃の立場とは逆になる傾向が強く、下克上リレーとも言われたりもした。


 一番の下克上は生徒達で、教師だけで走ると言っても得点種目でもあるので日頃の鬱憤を晴らすようにして激しい声援や野次が飛び交う種目でもあった。ちなみに教師達はジャージを着て走らない。授業でしているような服装で走る。だから女性陣はスカートで走る先生もいるし理科系は白衣を着る。そしてアンカーとして走る校長と教頭は一張羅のスーツで走った。これが意外に盛り上がる。特にアンカーは年齢層も高く、どれだけ若手がリードしていても無駄になる事が多かった。そのちまちまとした小競り合いが教師リレーの見どころで、教師達の場合どれだけ走れないかが一番の見せ所になった。


 いつもは年齢など諸所の理由もあり、副担任チームが有利な傾向にあったが、今年は一番酷い野次を受けていた3年担任チームが優勝し、余興として十分その役割を果たした。


 学年対抗を終えて戻ってきた武一が珍しくバテていた。


「お前、大丈夫なの?」

「なんとか。でもちょっと飛ばしすぎた」

「リレー全部走ってんだもんな。クラス対抗はどこ走んの?」

「最後」

「マジ? よく引き受けたね」

「知ってるか? 高校の体育祭ってさ、人生で本気で走る最後の場面かもしんないんだぜ」


 考えた事もなかったが言われてみればそうかもしれない。ぐらいに思うだけ深く考えはしなかった。言った武一もそうだと思う。


「でも武一がアンカーだと盛り上がるだろうな」

「そうか?」

「うん。見てる側からしたら面白いよ」


 最後バトンを受け取って走る武一と、それを見てる面々の顔は容易に想像出来た。


 アンカーでバトンを受け取った武一は思った以上に速くて、前を走っていた下級生を抜き去って1位でゴールした。武一はそれなりに活躍していたが、期待の太一はどこか心ここにあらずで、1人を抜きはしたが平凡な走りをしただけで特別印象には残らなかった。クラス対抗の決勝戦は武一のA組と太一のD組がワンツーで締めくくった。


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