ミスコン その7「ミスの品格」
【亮平】
アゲ高では伝統的に盛り上がれない奴はダサいといった風潮があって、何に対してもある種の熱を帯びてやる。だから冷めた態度でいる奴は敬遠されがちだが、今回のミスコンに関してはそうじゃなかったようで。大門の発言で会場の空気が変わったのは言うまでもなかった。
極寒の地で暖房のついた部屋から、氷点下の寒空に放り出されたような。みんな盛り上がって楽しんでたところに、凍えるぐらい冷えきった現実を実感させられた。「なんだよアレ? 超キレてんじゃん」と言ってる誰かの声が虚しく聞こえた。
「こんな気持ち悪い賞なら私で良かったなと思います。そこだけは投票してくれたバカ達に感謝します」
最後もう一度向けられたマイクに、大門が答えてミスコンは終わった。
周りはまだ騒がしくて大門を野次る男子の声が虚しく聴こえた。
大門の意見に全員が賛同してる訳じゃないだろうが、同じように思う子もいたと思う。女子は特にそうだろう。さっきまで同じようにはしゃいでいた連中も大門が作った空気に同調していくのがわかった。女子はいつでも女子の輪に戻れるから羨ましい。まあそんな事は本当はどうでもよくて。アゲ高の1番は大門。それが証明されただけで十分だった。目的は達成された。
言いたい事を言われて男子の面目は潰された訳だが、それでも大門がいい女だなと思うのは、ミスの襷とお手製の王冠とマントをちゃんと付けてくれてるところ。明らかに不機嫌な大門が、お飾りとしてその役を引き受けてくれている。そのミスマッチな出で立ちが、何故だか格好よく見えた。
壇上から降りて来た大門に女子が群がって、みんなこぞって写真を撮りだした。
そんな連中に、自虐的に笑いながら大門が言う。
「見てよコレ、おかしいでしょ? 撮んなくていいって。恥ずかしいから」
やっぱ大門は格好いい。このままがいい。




