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武一、ミスコンを企画する。  作者: よしの
アゲ高学園祭 1日目「文化祭」
52/72

ミスコン その5「5位〜3位」


 【トオル】

 

「第5位。3年、特別進学クラス。上澤ひら()さん」


 呼ばれた上澤は驚いた様子で口元を手で覆った。正直どっちの意味なのかわからなかったが、喜んでるようには見えなかった。暫く上澤は動けずにいたが周りに促されて壇上に上がっていった。喜んでいたのは周りにいたK組の男子だ。そりゃそうだろう、クラスのアイドルがランクインしたんだから。順位には少し不満もあるようだったが、それでも全校生徒の目が集まる場所で自分達の実績を噛み締めたようだった。


 上澤は確かに頭もよくて、ルックスも悪くないが特に目立つ生徒ではなくて、それはK組という事も理由の1つにあったが、そんな上澤が全校生徒対象のミスコンで上位に食い込むには無理があった。それぐらいK組と呼ばれる特別進学クラスはアゲ高に馴染みんでない。それでも上澤が5位に食い込んだのは、K組の男子票が全部上澤に集まったからだ。しかもそれは3年だけじゃなく2年も巻き込んでいる。特進クラスは横のつながりが薄い分、縦の繋がりが強かった。でも目立たないだけで上澤の見た目がいいのは確かだし、壇上に並ぶ他の子に比べても見劣りはしていなかった。上澤が通常クラスなら結果は変わっていたと思う。


 俺は上澤には入れてないが。クラスの奴は俺も当然入れてると思ってるだろう。クラスの奴に歓喜の輪に加わるよう促されたが俺は聞こえないフリをした。高揚も落胆もせず、ただ壇上に並ぶ女子を人形のように眺めていた。




 【チュージ】


「では、続いて4位の発表です」


 ここからの番狂わせはない。残りの4人が誰なのかは、この会場にいる全員がわかっていた。後はその並びがどうなるか。興味を失わない理由はそこにあった。


「2年E組、浜崎結衣さん」


 先に浜崎の名前が呼ばれた事で1年の久白ちゃんが浜崎を上回った事が確定した。俺は全員3年に投票したので久白くじらちゃんにも浜崎にも入れていないが、どちらかを選べと言われたら久白ちゃんを選ぶ。


 2年の集団の中からスッと浜崎が現れてそのまま壇上に上がっていった。肩まで伸びた艶のある黒髪と細い手足が印象的で、制服の着こなしも他の女子とは違う。壇上に並んでいる他の子と比べても際立って見えた。美少女とはこういう子を言うんだろう。浜崎はヘッドの隣に並んで生徒側を向くと軽くお辞儀をした。顔を上げると口にかかった髪の毛を手で払い、顔だけはしっかりと前を向いていたが視線は下を向いていた。ニコリともせず、一度も口元を緩めずに立っている浜崎はとても不機嫌そうで、その顔は何か言いたげに見えた。何となくコイツがどういう子なのかは容易に想像出来た。



 3位の発表をする頃には、司会者側と会場とで一体感が生まれだした。


「それでは、続いて第3位の発表に参ります」

「おおおーぅ」

「総票215。1位票124、2位票55、3位票36」

「おおおおーぉ!」

「合計獲得ポイント・・・5百・・・」

「おおおおおーぉ!」

「518ポイント」

「おおおおおおーぉ!」

「1年・・・」

「おおおぉぉぉぉぉぉぉーう!!!」

「久白愛さん!」


 今日イチでドカッと沸いた。

 ワーッと沸いた1年の塊から、久白(くじら)ちゃんがひょこっと出て来た。


 1年の集団から聞こえるクジラコールの中、手荒い祝福を受けたのか乱れた髪を整えながら少し小走りで階段までやって来ると、そこからはゆっくりと階段を上った。階段を上るとまた小走りして浜崎の隣に並んだ。隣に立っている浜崎は前だけを見ていて、久白ちゃんが小走りして前を通りすぎた時に髪の毛が揺れて少しスカートが浮いたが、気にする素ぶりは見せなかった。一瞬睨みつけるような視線を久白ちゃんに送っていたけど、すぐに視線を戻した。


 久白ちゃんは生徒に向かってお辞儀をすると、しっかりと前を向いて照れ臭そうに笑った。


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