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武一、ミスコンを企画する。  作者: よしの
アゲ高学園祭 1日目「文化祭」
51/70

ミスコン その4「8位〜6位」



 【太一】


 最初にチョーさん(長瀬)の名前が呼ばれた時、チュージのクラスが一気に沸いた。今回のミスコンの空気が決まった瞬間でもあった。


 チョーさんは驚いて何度も横に首を振っていた。チュージのクラスの面々が押し出すようにして、ようやく出て来たチョーさんは恥ずかしそうにしながら下を向いたまま壇上に上がっていった。壇上に上がったチョーさんはいつも以上にとても小さく見えて、遠目から見ても幼く見えた。壇上に上がっても恥ずかしそうにしていてうまく前を向けずにいた。


「チョーさーん!」

「長瀬―!」

「凛ちゃーん!」


 クラスメイトからの声でチョーさんはようやく顔を上げた。


「それでは続いて7位の発表です」




 【コウセイ】


 7位で新田さんの名前が呼ばれた時、男子だけじゃなくて女子の声も多く聴こえて「おーっ」という声より「えーっ」という声の方が多かった。反応は一番大きかったように思う。僕は周りが反応してる程新田さんの順位は気にならなくて、それより気になるのはその内訳の方だった。




 【トオル】


 新田の順位には納得だった。周りでは「もっと上じゃないの?」と言ってる奴も居たが新田の位置はこんなもんだろう。実際、俺も新田には入れてない。それでも周りの反応を見る限り、新田の人気が高い事はよくわかった。けど首を傾げている奴の大半は新田に入れてないように思う。確かに新田はルックスもいいし、キャラもいい。けど、わざわざミスコンをやった時にその対象となるような奴じゃない。新田の可愛さは飽くまで雑種の可愛さだ。素人だから受け入れられる。俺にはそう思えた。




 【チュージ】


 新田の順位は意外だった。もしかしたら、もしかする可能性が新田にはあった。よくアイドルグループとかにもいる、特別可愛い訳じゃないのに何故か一番人気の子。それが新田。そういう子は大抵キャラがよくて、まさに今の新田に当てはまった。だからこそ、その可能性を考えた。現にそうなったとしても、みんなそれ程驚かないと思う。それぐらいのポテンシャルが新田にはあった。だから最も過ぎるというか、予想より低い順位に留まった新田の現実がすぐには受け止められなかった。実際、本人はどう思ってるんだろう。壇上に上がっていく新田は囃し立てる連中に適当に愛想を振りまきながら笑った顔で壇上に上がっていった。いつも見ている、いつもの新田。ただいつも通りに見える分、その感情が見えなかった。


 新田は壇上に上がってからも、笑顔で手を振ったり、声援に応えたりといつものように愛想を振りまいていた。


 三月の仕切りはスムーズで違和感は感じなかったが、名前を呼ばれた者はただ壇上に上がって立っているだけで、三月がマイクを向けて感想を聞いたりする事はないので少し物足りなさを感じたが、三月が考えてそうしている訳でもないだろう。そう言えばと思って周りを見たが、まだ武一の姿は見当たらなかった。




 【亮平】


 8位が長瀬で7位が新田。それに続いて6位で名前を呼ばれたのはヘッドだった。


 長瀬の名前が呼ばれた時はチュージのクラスが沸いたが、ヘッドの時も同じくらいに沸いた。長瀬はサプライズではあるが、その存在は知っていた。ヘッドはその独特の雰囲気もあって、ある程度人気がある事は予想していたけど新田を超えてくるとは思わなかった。クラスの輪から出て来たヘッドはいつものピンクのヘッドホンを付けていた。いつだってブレないそのスタイルは少し頼もしくも見えた。表情だけはいつものように固定されていて、今ヘッドが何を考えているのか想像する事は困難だったが、きっとヘッドも何か思っているだと思う。ミスコンなんて初めてだろうし、自分がその対象となる事をヘッド自身想像してなかっただろう。それでもヘッドに驚いたりしてるような素ぶりはなくて、名前を呼ばれるとわーっと沸いた一角からすっと出て来て、そのまま壇上に上がっていった。壇上に上がって新田の隣に並ぶヘッドは、もはやリハ済?と思わせる程堂々としていた。



「今、ヘッドって何考えてんだろうな」



 俺は隣りに居た太一に聞いたつもりだったが、太一は聞こえてなかったのか、俺の質問には答えずただ壇上だけを見ていた。まあ聴こえてなかったんだろう。ライブ会場でステージに立つアーティストを見ている感じ。今のミスコンはその感覚に近かった。


 考えてみるとヘッドが今この場にいる事自体が不思議だった。ミスコンなんて所詮は学祭の催しの一つに過ぎないし、全員が参加する必要はない。模擬店とかやってる奴はそっちに残ってる奴もいるだろう。それでも体育館の中を見るに、ほとんど全員が参加しているように見えた。その輪の中にヘッドがいる事が不思議だった。ヘッドなら我関せずでいても不思議じゃないし、ミスコンなんて興味持たずに人の少なくなった模擬店で静かに過ごしている方が自然だ。それでもヘッドがこの場にいるのは、ミスコンに興味があったという事だろうか。「誰になるんだろうね?」と話しているヘッドは想像しにくいけど、そうじゃないとすれば、ヘッドは自分が選ばれるという事を予想していたという事だろうか? 壇上の上に立つヘッドを見て、それを想像するのは難しかった。


 ヘッドは壇上に上がると、新田の隣りに立って生徒達の方を向くと付けていたヘッドホンをゆっくりと外して首にかけると少し下を向いた。少しして顔を上げるとまっすぐ前だけを見て、そのまま表情は変わる事はなかった。


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