「トオルくん」
クラスの違う透君が、昼休みに誘ってくれるのは僕の事を気にかけてくれているからだ。
2人で教室を出ると中庭にある花壇のレンガに腰掛ける。そこからは渡り廊下が正面に見えて行き交う生徒がよく見えた。僕は母親が作ってくれた弁当を、透君は購買で買ってきたパンをそこで食べた。
透君とは中学が同じで、3年生になってからこの高校に転校してきた僕にとって透君の存在はありがたかった。親の仕事の関係でまたこの町に戻ってくる事になって、転校は初めてじゃないけど多少不安な部分はあって。そんな時に再会出来た透君は僕にとって大きかった。
人付き合いが得意じゃない僕は、言葉を交わすくらいの相手は出来るけど特別仲の良い友人はいなかった。僕が中学の途中で転校してしまってから透君とはそれきりだったけど、またこの学校で再会して僕が一番嬉しかったのは、透君が僕の事を覚えていてくれた事だった。
「あれ、コウセイ? 転校生ってお前だったの? 戻って来るなら言えよなー」
とても気さくだった。4年ぶりとは思えない気軽い挨拶だった。
透君は僕に学校の事を色々と教えてくれた。どういう先生がいるだとか、進学状況や学校の推薦枠とか、誰と誰が頭がよくて、誰と誰が付き合っているだとか、とにかく色々。透くんは学校での事情やどうでもいい事に詳しくて、僕はいつも感心しながら聞いていた。




