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武一、ミスコンを企画する。  作者: よしの
3年E組 和泉晃征
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「転校生」


 上利高校にやってきたのは今年の4月。時期としては新学期という事もあって丁度よかったのかもだけど、3年時の転校生というのは少し珍しいのかもしれない。

 普通の人にしてみれば転校自体が滅多にある事じゃないだろうけど、小学生の頃からそんな事を繰り返してきた僕にとっては「あーまたか」ぐらいな感覚だった。


 上利高校では1年毎にクラスが変わるので、3年に進級して新学年になったばかりの、まだ空気の落ち着かないそわそわとしている内にしれっと紛れ込めればいいなと考えていた。どこにでもいる大人しく目立たない生徒の1人のように。


 それぐらいのつもりで考えていたけれど、教卓の前に立たされて、黒板に名前を書かれ、自己紹介をさせられては嫌でも目立ってしまう。このルーティーンはどこの学校に行っても避けられないようで、当初考えてた目論見はやはりこの学校でも失敗した。


 いつも申し訳ないと思うのは、僕の事を珍しがるクラスメイトに満足のいく返しが出来ない事だ。

 興味を持たれても、それに応えられる個性を僕は持っていない。だから『転校生』という肩書きは苦手で。けど他に特徴のない僕は、結果『転校生』としてしか定着出来ないというジレンマを抱えてもいた。中学の時に転校した学校でもそうだ。中学2年の中頃に転校して、それから卒業するまでずっと。当時の子にしてみれば多分今でもそうだと思う。街で偶然出会ったら『あの時の転校生』として僕を認識するだろう。僕にしかわからない、普通の人はわからない、どうでもいい事だ。


 転校生という肩書きだけで目立ってしまった僕は、それでもそわそわとした空気のおかげで上手く紛れることが出来た。高校3年にもなれば、たかが転校生にそこまで興味を持つ人は少なくて、1週間も経たない内に僕の存在は自然に薄まっていった。


 この高校に来て改めて感じた事があって、最終学年の時に転校したのは今回が初めてで、高校で2年も過ごせば人間関係はすでに出来上がっている。そんな中に3年から飛び入りした僕が入り込む余地なんて全くなかった。元からその意欲がある訳じゃないが、疎外感をこんなに強く感じたのは初めてだった。僕がいてもいなくても誰も気にしないだろうし、出席で僕の名前を飛ばされたとしても誰も気づかないだろう。悲観して言ってる訳じゃなく事実そうだと思った。なぜなら、この学校にいる人達はみんなとても仲がいい。何というか、学校全体の雰囲気がとても明るくて、そのキラキラとした輝きはとても眩しく見えた。そんな場所に元から僕の居場所なんてある筈がなかった。


 早く時間が過ぎればいい。


 全てを悟った僕は、転校初日からそんな事を考えていた。けど、そんな疎外感を和らげてくれる存在がいた。それが透くんと新田さんだった。


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