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武一、ミスコンを企画する。  作者: よしの
3年D組 島田太一
24/29

ヘッド その2「グラサンとヘッドホン」


 普段、感情の読めないヘッドが笑っている時がある。

 3年になってヘッドと同じクラスになってまだ間もない頃、一度隣の席になった事があって、授業中に教師が言うくだらない冗談を聞いて、誰も反応しない中ヘッドだけが笑っていた。少し俯いて口元に手をやり控えめに笑うヘッドはいつにも増して不気味に見えたが、ちょっと可愛いくも見えた。そういう事が何度かあって、ヘッドが意外にゲラな事を知っているのは、恐らく俺ぐらいだろうと思っている。


 ヘッドが何故いつもヘッドホンをしているのか。その理由はわからない。聞いた事もないし、聞こうとも思わない。その発想が沸かない。中には聞こうとした奴がいたかもしれないが、その答えを知らないし、興味もなかった。今更それを聞こうとする奴も居ないだろうし、まず話題に上がる事がない。それぐらいヘッドのヘッドホンは絶対的で、それがないとヘッドのキャラが成立しない。寧ろヘッドホンをしてない方が違和感を感じる。グラサンをしてないタモリみたいな。


「あれ?タモさん何で今日グラサンしてないんですが? 何かありました?」


 この会話がそのままヘッドに置き換えられる。してない方が不安になる。

 ヘッドがヘッドである為には、ヘッドホンは欠かせないアイテムなのだ。

 朝、校門をくぐった後に見えてくる無数の生徒の頭の中にピンク色のヘッドホンを見つけると「しゃーねー、今日も頑張るか!」そういう気分になる。


 いつもヘッドホンをしてる女の子がいて、見た目取っ付き憎くて、ちょっと不気味で、おじさんのくだらない冗談で笑って、よく見ると顔が整っていて、たまに体育の授業中に、みんなの輪から離れて体育館の隅に1人ちょこんと座っているの姿が無性に可愛く見えて、それでちょっと興味を持って。。。


 ヘッドが誰かと付き合ってるとか、そういう話は聞いた事がない。浮いた話はヘッドには存在しない。けどヘッドに興味を持つ奴がいる事は知っていて、それが好意なのか、ただの好奇心なのかはわからないが、一部の男子から支持されている事は確かだった。


 その佇まいと独特のルックスもあって少なからずヘッドにはファンがいる。

 俺も多分、その1人だ。



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