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【完結】許されるとおもうなよ〜夫とその恋人に殺された令嬢は復讐を誓う〜  作者: あまNatu


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89/90

それからのこと

「リリィ。実は話があるんだ」


「話し、ですか?」


 レオとエメ。

 二人の子どもが誕生した話しは、またたく間に国中に広がっていった。

 たくさんの人が祝福してくれている中、リリィは赤子二人と共に養生していた。

 そんな中、ノアから真剣な眼差しで言われたのだ。


「この子たちの後見人のことだ」


「後見人……?」


 後見人ならリリアナの両親である、ウィンバート侯爵家がなるはずだ。

 大変不服ではあるが。

 今ごろ小躍りでもして喜んでいるであろうあの家族を思い出すと、思わず顔が歪んでしまった。


「このままだとあのウィンバート家がいい思いをするだけだろう? ……この子たちの後見人だと鼻高く、あれこれ面倒ごとを起こされるのも嫌だ」


「……はい。それは私もです」


 あの親、妹のことだ。

 皇太子、皇女の後ろ盾だと大きな顔をして、あれこれ面倒ごとを起こすに決まっている。

 そうなっては子どもたち二人の名誉にも関わってしまう。


「だからもし……。もしリリィがよければ……。君の本当の父親に、後見人を任せないか?」


「――お父様に?」


「そうだ。同じ侯爵だし、なにより彼にはあの尋問で深い愛情を感じた。彼なら二人の子を、大切にしてくれるんじゃないか?」


「…………」


 まさかこんな形で、父と関わることになろうとは思わなかった。

 もうあれが、最後の逢瀬だと思っていたのに。

 だがもし、もし父がこれを承認してくれれば、子どもたちにとってもこれほどいい話はない。

 少なくともウィンバート家に任せるより、ずっといいはずだ。


「ノアさえよければ、ぜひそうしたいです」


「――よかった。ならこれで話を進めるよう、母上にも伝えておくよ」


「ありがとうございます!」


 子どもたちの未来も明るそうだとホッとしていると、リリィの調子がいいことがわかったのか、ノアが話を続けた。


「それとアシュリーの件だが……家を勘当されたらしい。だが皇后宮で働き口があるから安心してくれ。――いざとなれば母上の実家が後見人になってくれるようだ」


「それは……よかったです」


 アシュリーはあのあと、キースとともにやってくると揃って謝罪してくれた。

 申し訳ないことをしたと。

 謝って許されることではないのはわかっているから、必ず償いをすると。

 殺されかけたことは本当に許せるものではないが、キースとのことをきっぱりしなかったリリィにも責任はある。

 ゆえにこの後を見てアシュリーを許すかどうか決めると伝えた。

 リリィが許さなければ、アシュリーは皇宮の境を跨ぐことはしないと決めているようだ。

 アシュリーが誠心誠意動いてくれることを願っている。


「孤児院の方もうまくいっている。近々少し離れたところにもう一つ作る予定だ」


「うまくいっているんですね」


「それもこれも全て、君のおかげだ。子どもたちも自分の未来のためにと、一生懸命勉強しているよ」


 孤児院製の刺繍やおもちゃはとても好評のようだ。

 おかげで次の孤児院を作ることもできる。

 もちろん目指すは国経営なので、まだまだ先は長いが。


「着実に一歩ずつ、ですね」


「ああ」


 そんな話をしていると、皇女がぐずり始める。

 するとまるで伝染するかのように、皇子のほうまで泣き始めるのだ。


「あーあー。よしよし。ほら、お父様だぞー」


「……エメはノアに抱っこされると、一瞬で泣き止みますね」


「そこらへんもやはりリリアナなのかもしれないな」


 これはきっと、大人になっても父親大好きな娘になりそうだ。

 ちなみに容姿は皇女はリリアナ、皇子はノアにそっくりである。


「レオはリリィに抱っこされるのを好む。――俺が抱くとむしろもっと泣くんだ。……ちょっと傷ついた」


「今だけですよ」


 ちょっとだけしょんぼりとしつつも、ノアはリリィが座るベッドへと腰を下ろした。

 そのままリリィの額に口付けを落とす。


「ありがとう。――君のおかげで、俺は大切だと思えるものが増えた。愛することも愛されることも、こんなに幸せだとは思わなかった」


「私こそ。あなたが私の話を信じてくれなければ、きっとなに一つ成し遂げることはできなかった」


 復讐をすることも、誰かをまた愛することも、子を成すことも。

 全てノアのおかげだ。

 だからこそ感謝の言葉を伝えれば、彼は優しくリリィの肩を抱き寄せた。


「愛してる、リリィ。君の全てを」


「愛してます、ノア。……あなたの全てを」


 どちらからともなく寄せた唇は、柔らかな温もりとともに触れ合った――。

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