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【完結】許されるとおもうなよ〜夫とその恋人に殺された令嬢は復讐を誓う〜  作者: あまNatu


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49/90

最高の催しを

「有意義な時間を過ごせたようだな」


「とても。……殿下のおかげです。メキーラとハル、二人ともとてもよくやってくれました」


 伯爵家での事件があったあと、皇宮へと帰ってきたリリィを出迎えたのはノアだった。

 彼はリリィより先に連れてこられたアメリアを見て気づいたのだろう。

 とても楽しそうにクツクツと笑った。


「あの二人はこのまま君の護衛につける。――好きに使っていい」


「ありがとうございます」


 メキーラとハルはとても優秀な騎士だ。

 その二人を味方につけられるというのはとてもありがたい。

 実際アメリアを捉えた時の動きは俊敏かつ的確であり、リリィだけではああはいかなかっただろう。


「それにしてもなにがあった?」


「実は……」


 伯爵家で起きた事件。

 リリィのカップに砂が混ぜられており、それをやったのが侍女であったこと。

 そしてそれが手慣れたものであり、余罪を聞いたら前妻にもやっていたこと。

 そこまでを話すと、ノアから待ったがかけられた。


「君の……皇太子妃の飲み物に砂を入れただと……?」


「――まだ皇太子妃ではありませんが……」


「時期がくれば結婚するんだから、君は実質皇太子妃だ」


 そうか。

 そうなのか。

 もちろん自覚はあったし、覚悟だってしていた。

 だがノアにそう言われると、なんだか心がそわそわする。

 嬉しいけれど、ちょっとだけ恥ずかしい気持ちだ。

 そのことに思わず口端をあげていると、それを見たノアもまた似たような顔をした。


「俺の妻は可愛らしい女性だと、再確認したよ」


「――だ、だって……!」


「これからはなるべく言葉にすることにする」


 さて、と話を切り替えたノアは、腕を組むと難しい顔をした。


「生前の君にそんなことをしたというのも許せないが……。今の君にまでそんなことをするなんて。伯爵家に罪を問わせてもいいんだぞ?」


「そうですね……」


 確かにそれでもいいかもしれない。

 伯爵家にとってじゅうぶんな恥となるだろうから。

 けれど……。


「――それじゃ楽しくないと思いませんか? もっと大きく、人目の引くところで彼らに恥をかかせたいんです。……侍女のせいなんて小さなものではなく」


「……確かにそれもそうだな。侍女の失態では彼らに醜聞を与えることはできても、致命打にはならないか……」


 周囲も侍女をちゃんと管理できていなかった、くらいにしか思わないだろう。

 そんなものでは足りないのだ。

 彼らがしてきたすべてのことを、白日のもとに晒さなくては。


「なのでアメリアには証人になってもらいます」


「アメリア……? ああ、あの侍女のことか」


「ええ。……彼女にはリリィ・マクラーレンが伯爵家でされていたことの全てを、公の場で証言させます。そうすれば、殺されたという話にも信憑性が増すでしょう?」


 リリィがいかに悲惨な扱いを受けていたか。

 彼らからいかに迫害を受けていたか。

 それを証言させるのだ。


「――最初は、私の死なんて別にいいと思ってました。彼らを貶めることさえできれば、それだけでいいと……。ですが……」


 死後も好き勝手言われていたなんて知って、それでも無視できるほどリリィの心は強くない。


「彼らは馬鹿なんです。静かに寝させてくれていれば……罪を多く背負う必要もなかったのに」


 自分で自分の首を絞めるとはまさにこのこと。

 彼らにはきっちりと、リリィ殺害の罪も償わせるつもりだ。


「――欲深いでしょうか……?」


「なにがだ? 君がやらなかったら俺がやっていた。いくら肉体が別人とはいえ君だろう? なら君を苦しめ傷つけた報いは受けるべきだ」


「……ありがとうございます」


 ノアにそう言ってもらえるだけで、救われた気になってしまう。

 一人でもリリィのことを思ってくれる人がいるというのは心強い。


「ならあの侍女からはいろいろ話を聞かないとな……。尋問ならハルが得意だぞ? 口を割らなかった者はいない。死ぬからな」


「それは……尋問なんですか……?」


 拷問じゃ……と口から出そうになるがやめた。

 触らぬなんとかだ。

 とはいえそれではアメリアが壊れてしまうかもしれない。

 それに彼女には他にも役割があるのだ。


「ひとまず私が話をします。……やってみたいことがあるんです」


「やってみたいこと?」


「ええ。それは――」


 己の考えを語れば、それを静かに聞いていたノアが意地の悪そうな笑みを浮かべた。


「最高だな。もちろん俺も同行していいな? そんな楽しそうなこと、一人で堪能しないよな……?」


 ノアに腰を掴まれ引き寄せられる。

 彼の胸元に飛び込みながら、静かに微笑む。


「――もちろんです。……楽しみは一緒に、苦しみも一緒に。それが私たちでしょう?」


「……最高だな。楽しみでしかない」

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