表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】許されるとおもうなよ〜夫とその恋人に殺された令嬢は復讐を誓う〜  作者: あまNatu


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/90

奪われる

「リリアナ。あなたお友だちから素敵なプレゼントをされたそうね?」


「――どうしてそれをっ」


「まさか独り占めしようなんて、そんな卑怯なこと言わないわよね?」


「あたしが欲しがってるの知ってたでしょう!? お姉さまだけ使うなんてずるいわ!」


 母と妹のオーロラは、ずかずかとリリィの部屋に入ってくる。

 彼女たちの目的はわかっていたので、事前にテーブルの上にエラからもらった装飾品たちを置いておいたのだが、あっという間に食らいついてきた。


「こんなに……!」


「これ! 絶対あたしのほうが似合うわよね!?」


「まあオーロラ! あなたは本当に天使のようね……!」


 リリィがもらったものを身につけてくるくると回るオーロラに、母が拍手を送る。


「お姉さまこれちょうだい。お姉さまには似合わないしいいでしょう?」


「でもそれはもらいもので……」


「あなたがもらったのならそれをオーロラにあげたっていいでしょう! まったく……姉としての自覚がないのかしら?」


 姉だからって全てを妹にあげなくてはならない、なんてことはない。

 だがオーロラはもう自分のものだと思っているのか、姿鏡に向かってイヤリングやネックレス、ブレスレットまでつけ始める。

 それに拍手を送る母の後ろで、リリィは眉間に皺を寄せた。


「それは私がもらったもので……」


「うるさいわね。どうせ似合わないんだからいいじゃない! これでやっと友だちに自慢できるわー!」


 嬉しそうにくるくると回るオーロラを見て、リリィは静かに顔を伏せる。

 その下で口端をあげていることに気づかれぬように。


「品薄で手に入らなかっただけなのに、持ってる子が自慢ばっかりしてきて……。でもあの子が持ってるものよりずーっと大きくて綺麗! これならあたしが一番目立つわ!」


 自慢したければ自慢すればいい。

 いつかその宝石が偽物だとわかった時に、恥ずかしい思いをするのは彼女らだ。

 きっと怒り狂うに違いない。

 そうなったら必ず、マクラーレン伯爵家を糾弾するはず。

 仮にも侯爵家という高い地位があるのだから、有効活用しない手はない。

 ウィンバート家が前に立てば勝手に同調してくる人たちも現れるだろう。

 馬鹿にされる役も、面倒ごとを担う役も、全て彼女たちにくれてやるのだ。

 偽物の宝石と共に――。


「他にも隠してないでしょうね!?」


「……残ってるのは殿下からいただいたものだけです」


「――……さすがに殿下からのプレゼントに手をつけるのはマズいわね。もういいわ。オーロラ! そのアクセサリーに似合うドレスを作りにいきましょう」


「――ええ! やっぱりピンクがいいと思うの! うんと可愛いやつを作らせないと!」


 バタンッ!

 大きな音を立てて扉が閉まり、オーロラたちの足音が聞こえなくなってからリリィは顔を上げた。


「はあ。演技って疲れるのね。……エラはよくできるわ」


 長い髪をかきあげてから、リリィは踵を返した。

 ソファへと腰を下ろすと、冷め始めている紅茶で喉を潤す。


「本当に全部持っていくなんて……。なんて扱いやすい人たちなのかしら」


 テーブルの上に置かれていた装飾品は全て持って行かれた。

 がめついというかめざといというか……。

 まあリリィには似合わないものだし、なによりいらないものだったのでありがたく持って行かせた。

 いつか宝石が偽物だとバレた時、散々自慢しまくるであろうオーロラは、周りからどんな反応をされるだろうか?

 想像するだけで面白いことになりそうだと、リリィは細く笑んだ。


「どうせオーロラは、あのアクセサリーを侯爵家主催のパーティーでつけるだろうから……。そこでエラに見せつけることができるわね」


 家族に疎まれものを奪われる哀れな女を、エラはどんなふうに見てくるのだろうか?

 自分よりもかわいそうな存在に、彼女は聖母の如く手を差し伸べるのか。

 それとも……。


「――どう出てくるか。見ものね」


 そう呟くと、新しい紅茶を淹れるよう侍女に声をかけたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ