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点数のつかない鏡  作者: はるかぜ


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評価の法則

 今日は久しぶりにお母さんと電話をしている。


「美月、そろそろちゃんとした定職に就きなさいよー」

 最近は毎回この話ばかりでうんざりだ。多分結婚しだしている同級生もいるしそこも気になってはいそうだが私の恋愛には触れないでくれている。


「わかってるよ。でも人生これで決まるわけだし、今も別に生きてけてるしコンビニバイト生活もいい気がしてきた」


「大学も行かせてあげてるのよ。二年くらいフラフラするくらいならお父さんも許すけど三年以上になってくると話は変わってくるって言ってるから将来について真剣に考えなさいね」


「はーい」

 大学も全部親が払ってくれて奨学金なし。就活失敗しても見捨てずに今の自由な生活もまだ許してくれている。わがまま娘なのはわかっているし私は恵まれてるだろう。


「あとそうそう。田中さんとこのはやとくんっていたじゃない?あの子弁護士になったらしいわよ!すごいわよね〜」

 また始まった。

 お母さんは私と違って社交的。ママ友もたくさんいるため噂話がどんどん入ってくる。


「へぇ、そうなんだ」


「あと山本さんちの愛翔くんはまた警察のお世話になったらしいわよ」

 そこからなんでもない世間話を三十分くらい。ほとんどお母さんの話を聞いてただけだが電話を切った。


 山本愛翔は小学生の時はクラスの中心で人気者だった。彼の一言でクラスは大爆笑に包まれるしムードメーカーで男女からモテるリーダー格のキラキラした人だった。そんな彼は今、未成年飲酒や夜のトラブルでよく警察のお世話になっている。真面目に働く人を社畜と見下し、納税を負けの証拠と切り捨てるらしい。


 対する田中はやとはクラスの隅で本を読んでいるような男の子。目立たないタイプだった。そんな彼は今、弁護士として働いている。地元の情報誌の片隅に、小さな法律相談の広告が載っている。あの頃、「暗い」とか「地味」とか言われていた彼の名前が、今は活字で堂々としている。


 どこで変わったのだろう。


 むしろあの当時の私は愛翔に対してキラキラな世界に行くのだろうなと思っていたし、はやとに対しては申し訳ないが地味な人生なんだろうなと感じていた。

ただそれは子供だからで子供の世界と大人の世界のキラキラは全然違う。

 もちろん、ずーっとキラキラした人生の人、ずーっと地味な人生の人も多いが大逆転が起きる場合も多い。


高校は偏差値六十くらいの自称進に進学したため勉強できる人はかっこいい、努力しているものみたいな感じで切磋琢磨していたが小中は地元の子を集めたみたいなとこだったのもあり勉強=ダサいみたいな風潮がなぜかあった。


 良い点数をとったり宿題を真面目にだしていても、お前真面目かwガリ勉かよ、みたいな感じでなぜかバカにされる。テストでいい点取るより、先生に反抗して笑いをとる方が人気者。

 今思えばそれは一つの振い落としだったように思えるし子ども特有の空気感だった。


 地元の子どもが同じ教室に詰め込まれるような環境だった小中では勉強に熱心な子もいればそうでない子もいて家庭環境もバラバラだった。価値観が違う人が多いからこそ面白い部分もあったが勉強にモチベがない人がいる中で勉強ができる、真面目にやっている人=浮いている、空気を読まない人になってしまう。心のどこかでは勉強しない自分を守るための武装、防衛反応でもあったのかもしれない。


 勉強できることは努力していることで良いことのはずなのに、その空気の中では空気を読めないことになる。逆に、バカっぽく見える、勉強してないアピールをしている方が「みんなと同じ」で安心できる。


 でも高校に入ると話は別。進学校に入ると、そもそも一定数の勉強をしてきた人しか残らない。だから努力が当たり前で、賢い人は尊敬される。逆に誰でも入れるような高校だと小中よりも残酷になったりする。同じ行動でもコミュニティによって評価が180度変わるのだ。


 今もネットを眺めながら、誰かのキラキラを見てはこの人は子どもの頃どんな評価を受けていたのだろうと考える。結局、光っているものの正体なんて、見る場所と角度次第なのだ。


 子どもの時に笑われていたことも大人になれば価値になることもある。ちょっと変だったり浮いてる人の方が普通に捉われず有名人や大スターになってたりする。環境や時代が変わることで評価は一気に変わるし世界が違って見える。


 そんな世界が面白い。


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