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黒の帝国  作者: 木島別弥
15/15

15、能力のきっかけ

 今、黒の帝国と光のものは一触即発の戦争の前段階にあった。死んだ星を生き返らせる能力者スターホワイトの居場所を、黒の帝国が知ったからだった。黒の帝国は、一個師団をその日のうちに編成して、スターホワイトを抹殺するべく進軍させた。血で血を洗う戦争の再開だった。

 スターホワイトはまさかそんなところにいるわけがないと思われていた死体の流刑地にあって、一人、心を研ぎ澄ましていた。黒の帝国が攻めてきたら、また、光の者の支援者とともに生きのびるために、多くの者の命を賭して戦わなければならない。

 しかし、スターホワイトはそんなものを見てはいなかった。スターホワイトが見ていたのは、自分の周囲にある心の動きだった。今、スターホワイトの周囲で、非常に大きな慈しみの心が溢れ出していた。

 スターホワイトは、そういった心の動きに敏感だった。そして、そういった心の動きを何よりも大切なものだと考えて生きていた。それは、そういった心の動きが、スターホワイトの能力の発動を関係しているからだった。スターホワイトの能力が発動しさえすれば、光と黒の帝国の戦いに終止符を打つことができるのだ。

 スターホワイトが感じていた非常に大きな慈しみの心が、すぐ隣で溢れ出していた。

 それは、ターコイズブルーが泣いていたのだった。

 ターコイズブルーが恋する相手を奪われて、泣いていたところだったのだ。

 その気持ちは、成長したスターホワイトが感じることのできた一番強い慈しみの衝動だった。

「今なら、できる気がする」

 スターホワイトがいった。

 ターコイズブルーの激しい激情に引き寄せられて、スターホワイトは強い心の衝動を感じとることができていた。その心の衝動を反動にして、さらなる心の衝動を作り出す。

 今、起きる。

 十五年かけて、光の者たちが追い求めてきた奇跡、死んだ星を生き返らせる能力の発動が。

 スターホワイトは激しい精神の衝動に突き動かされていた。

 蘇れ、死んだ星よ。

 そして、死んだ星は生き返り、ブラックホールだったそれは新しく光り輝く恒星となった。

 奇跡は起きた。

 黒の帝国に虐げられてきた闇の時代が終わり、光り輝く明るい時代がやってきたのだった。

 黒の帝国はその日のうちに崩壊して、光の者たちが数多く生まれていた。


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