2 家に到着
ガチャッ
「ただいま〜」
赤い屋根の某ウサギの家にそっくりな家に到着した。
少女に引っ張られながら一緒に家に入ると、
20代ぐらいの綺麗な女性が出迎えてくれた。
少女のお母さんだろうか?
「おかえりなさい。マリア、ユイーナ。
遅かったわね。夕飯の準備手伝って」
マリア?少女の名前だろうか。
そして私は、ユイーナではなく、結衣なのだが。。。
「裏山にベリーを採りに行ってたら、
途中ユイーナとはぐれちゃって遅くなったの。
お母さんごめんなさい」
なんだが私のせいみたいで、申し訳ない気分になる。
「あの、ごめんなさい。」
つい声が出ると、マリアのお母さんと、
マリアは顔を見合わせた。
何かおかしい事でも言っただろうか。
「お母さん、ユイーナが変なの。
森に行く時は普通だったのに、
森ではぐれた後から森からぼーっとしていて、
いつもならまだ帰るの早いとか、
もっと森を散策しようとか言うのに!」
「あらあら、どうしたの?
久しぶりに森に行ったから疲れちゃった?」
いつものユイーナは、
元気いっぱいな女の子なのかな?
そして私は結衣なのだか、
ユイーナと間違えられてる?謎が深まる。
「あの、私は結衣で、ユイーナではありませんっ」
意を決して2人に伝えてみると、2人は再度顔を
見合わせてふふっと笑い出した。
「何言ってるの、ユイーナ。うちのユイーナは、
赤髪に緑の目で、えくぼがチャームポイントの
可愛い子よ。ユイーナを他の子と見間違える訳ないじゃない」
「そうだよ!私やお母さんと同じ色だもの。
ユイーナったら変なの〜」
2人はまた笑うと、疲れた様子の私に
気を使ったのか夕飯まで部屋で休むように言われた。
マリアが部屋に着替えに行くみたいなので
後をついていくと、2つのベッドがある部屋に着いた。マリアとユイーナの部屋だろうか?
マリアは着替えをしたら
ゆっくり休んでねと私に声をかけると
部屋を出て行った。
1人になって色々考えてみたが、もしかしたら私は
何かが原因でユイーナに憑依?
入れ替わってしまったのではないだろうか。
元々本や漫画を読むのが好きだったので、
異世界物とかよく読んでいたが
凄く似ている気がする。
異世界物の定番といえば、何か事故や事件が起きて
気づいたら異世界に来ていたパターンがよくあるが、
私は何故かこちらの世界?に来る前のことが
全然覚えていなくて、思い出そうとすると
頭が急に痛くなる。
もしかしたら、何か事故や事件に
巻き込まれたのかもしれない。
もし覚えてたら、フラッシュバックして
何も手につかない状況になっていたかも
しれないのでまぁ良しとしよう。
でも、家族や友達と離れ離れになってしまったのは
とても悲しいな。。。
どうにかこのユイーナの体から、
出られる手段を見つけられるといいけど。
でも元の世界で、もし死んでいたりしたら
戻ること出来ないよね。
仕方ないから、今はユイーナとして
出来ることやってみよう!
もしユイーナが戻ってきたときに、
きちんと体を返してあげられるように
皆に不信感を与えないようにしないと!
私結衣も元気が取り柄だったから、
いつも通りの自分でいたら案外バレないかもしれない。
うんうん、何か大丈夫な気がしてきた。
「よしっ、頑張るぞぉーー!」
1人自分を鼓舞していると、
部屋をノックする音が聞こえた。