出会い
僕は初めてあなたに恋をした。
高校1年 春
あなたと出逢い
そして、僕はあなたに恋心を抱き
高校1年 夏
あなたと僕は付き合い始めた...
あなたを愛し僕は人生がとても楽しかった。
苦しいことや悲しいことがあってもあなたが居たから頑張れた。
もしあなたが
どんなに遠くに行っても
僕はあなたを愛し続けるよ。
それが僕に出来る精一杯のコトだから...
◇◆◇
舞園高校 入学式
桜の木が花を咲かせ
満開の桜の下
舞園高校へ新入生が歩いていく
その中に、
ひときわ目立つ髪の毛...
オレンジ色をした男子がいた。
その名は、
砂我 秀二-さが しゅうじ-
見た目がいかにもチャラそうだった。
「ふぁー、寝みぃ」
大きなあくびをした。
「入学式とか、めんどい」
秀二はため息をついた。
秀二は校門を通り抜け、クラス表見に行った。
クラス表の前には大勢の人が表を見ながら騒いでいた。
「えっと、俺は...」
…1組だった。
「1組に知ってる人いっかなぁ」
秀二は教室へ向かった。
「よぉ。秀二」
教室に着くと中学の時に仲が良かった男子が話しかけてきた。
「よぉ...」
「元気ねぇなぁ。何かあったか?」
「何もなかった。ただ、寝みぃだけ」
秀二はそう言うと、名前順で指定された席についた。
◇◆◇
{これから、入学式を始めますので新入生の皆さんは体育館の方に移動してください}
秀二は放送を聞き体育館へ向かった。
入学式は、ほとんど校長先生の話ばっかりだった。
約1時間、入学式をやっていた。
今日は入学式だから授業はないが、学級委員などを決めなくてはならなかった。
「だりぃ」
秀二は俺には関係無いなと思い顔を伏せた。
1組の担任は近藤 雅也という先生だ。
見た目は結構若い。
[女子で学級委員やりたい人居るか?推薦でも良いぞ]
………沈黙
一人の女子が手をあげた。
[えっと、前田やってくれるのか?」「…あのぉ、推薦したいひとがぁ居るんですけどぉ」
[誰を推薦するんだ?]
「私はぁ、佐藤さんが良いと思うんですけどぉ」
[あぁ、佐藤か。佐藤、学級委員やってくれるか?]
佐藤とよばれた女子はこくんと頷いた。
[じゃあ女子は佐藤っと。男子でやってくれるやつはいるか?]
………再び沈黙
「ハイ、ハーイ砂我君が良いと思います!」
お調子者のような男子は秀二の親友の相沢 真 -あいざわ まこと-だった。
「俺の名前!?」
顔を伏せていた秀二はすぐさま真の方を向いた。
真は秀二の方を見て笑いながら手をピースにした。
「あいつぅ」
結局、他に誰も立候補をしなかったので男子の学級委員は秀二に決まってしまった。
休み時間になると秀二は真の席に行った。
「し、秀二」
秀二がにらんだので真は焦った。
「真ー!なんで俺を推薦したのかなぁ」
「だってさ、秀二頭良いし入試も一番だったし見た目と違ってリーダーっぽいから...」
真は、秀二の周りに殺意があることに気付き逃げ出した。
「おい、待て!」
真が全速力で逃げたので、秀二も全速力で追いかけた。
結局、数分後に真は捕まってしまった。
「ゴメンって、本当にゴメン」
「謝っても決まったもんは直せないんだぁ!」
「だ、大丈夫だって。秀二ならしっかりまとめられるって」
「そんなコトが言いたいんじゃなくて、そもそも学級委員がめんどいんだよ!」
「ゴメンなさぃ!」
そんなことをしているうちに、帰りのホームルームが始まった。
「入学式も終わり、お前達は立派な舞園生だ!明日からは通常授業だがダラダラせず、高校生だという気持ちを持ち登校しなさい。それと、学級委員は放課後残るように!じゃぁ解散」
みんなはバタバタと友達と一緒に帰っていった。
「頑張れ秀二」
後ろから真が話してきた。
「そもそも、お前のせいだろうが!」
「怒らないでよぉ」
真は半泣き状態で言った。
「死ねばいいのに...」
ボソッと秀二は呟いた。
「ヒドーいっ。俺、地獄耳だから聞こえちゃったもんね」
「バーカ」
秀二は怒りながら言った。
「うっ、バカだから反論できない」
「ざまぁみろ!」
「あっ、そろそろ帰らないと」
真は泣きながら帰っていった。
「ふぅ」
秀二は先生がくるまで持ってきていた本を読み始めた。
「い、意外ですね」
話しかけてきたのは女子の学級委員の佐藤 由依だった。
彼女は小柄で影はうすくはないが、物静かで結構可愛い子だ。
「何が意外なんだ?」
「本を読んでるのが...」
「あぁ、本か!確かにみんなに意外って言われる」
「本好きなんですか?」
由依はおずおずと聞いた。
「好きって言うか、読んでると一人になれるって言うか、落ち着くんだよな」
「分かります!その気持ち」
由依は目を輝かせて言いながらうんうんと頷いた。
「お前も本好きなのか?」
「はいっ」
由依はにっこりと笑顔になった。
その顔を見て秀二は一瞬ドキッとした。
「あの、私の名前分かりますか?」
「えっと、名前...。ゴメン分かんないや」
「そっか、私はちゃんと覚えてるのに...」
「冗談だって(笑)」
秀二はイタズラする小さな子の無邪気な笑顔のように笑った。
「からかわないでください」
由依はさっきの真と同じように半泣きになっていた。
「佐藤由依だろ。入試のとき席隣だったし」
「覚えてたんだ」
「俺、記憶力だけは良いからな」
「記憶力だけじゃないですよ!頭良いし、それに...優しいです」
「何か照れるな」
ガラッ
教室のドアが開き先生が出てきた。
「お前ら知り合いだったのか?」
「いいえ、入試の時に席が隣だっただけです」
秀二は直ぐに先生の質問に答えた。
「まぁ、それはいいとして今月にやるクラスの中を深めるための合宿のしおりをつくって欲しいんだ」
「めんどっ」
「学級委員に選ばれたんだからちゃんとやれ!」
「はーい」
秀二はやる気がないように返事をした。
「じゃぁ、頼んだぞ」
先生は秀二の前に資料をドサッと置くと教室から出ていった。
「よし、やるかぁ」
由依は目を真ん丸にして秀二を見た。
「どうした?」
「さっきまで、めんどいって言ってたのに、いきなりやる気になってるから」
「そうか?」
「意外とがんばり屋なんですね!」
「がんばり屋とかじゃなくて、癖と言うか...」
「癖?」
「うん、癖。俺の家、父親居なくてさ...」
秀二は手を動かしながら話始めた。
「えっ!?」
「母子家庭なんだけど、母さんは毎日仕事で大変そうで家事は俺がやってたんだ。俺、毎日母さんがいない間に家事して勉強したり夜中には学校のことやってさ寝る時間ないのに迷惑にならないように大丈夫なフリしてたら、いつの間にか学校でも同じことやってたんだ...」
………沈黙
「悪ぃ。こんな話して」
秀二は少し悲しそうな顔をしていた。
「でも...なんでその事を私に教えてくれたの?」
「何か分かってくれる気がして...」
「えっ?」
由依は秀二がそんなことを言うとは思わなかったのでビックリした。
「ゴメン、ほぼ初対面なのに」
………再び沈黙
「謝らなくて良いよ。だって私、その気持ち分かるから...」
「へっ?」
「母子家庭っていうわけじゃないけど、親がいつも仕事から帰ってくるのは遅いし朝家出るのは早くて、毎日親と声をかわすことが無くて、親は仕事が大変だから心配かけないように砂我くんと同じような感じで人と接してたの」
少しうつ向きながら由依は自分の家のことを話した。
「ゴメン。辛い話させちゃって」
「大丈夫。もう慣れてるから」
由依は少し無理をした笑顔を秀二に向けた。
「!?」
いきなり秀二は由依のことを抱きしめた。
「えっ!?...何ッ」
「無理して笑わないで」
抱きしめてきた秀二は別人のように見えた。
「俺さ、無理して笑ってる人見てると、なんか助けてあげたいって思うんだ」
由依はどうしていいのか分からなくなって頭が真っ白になった。
パニックになってる由依に気付くと秀二は少し焦った。
「ゴ、ゴメンな。嫌だったよな、いきなり抱きしめたりして」
「ちょっとビックリしただけ」
由依は少し顔を赤くして言った。
「俺、今日謝ってばっかじゃん」
秀二は情けない自分にため息をついた。
「じ、じゃ早く頼まれた仕事やらないとね」
2人はぎこちなかったけど真面目にしおりを作り始めました。
………PM6:30
「やっと終わったぁ」
「疲れた」
出来たしおりを先生に届けに行きました。
「ちゃんと、作ったな」
「「はい」」
「今日はもうやること無いから2人とも帰っていいぞ」
「分かりました」
2人は先生に礼をしてその場から離れました。
校門の前まで2人でいくと外は真っ暗でした。
「春だっていうのに暗いな。お前、家どっち?」
「なんで?」
「いいから」
「えっと...左に行くけど」
「なら途中まで一緒だな」
「どいうこと!?」
「女子1人で帰んの危ないだろ」
「送っていってくれるってコト?」
「そうだよ!すぐに察しろよ恥ずかしいんだから」
「意外だね」
「な、何が?」
「今日は砂我君の意外な一面いっぱい見れたなぁ
」
「お前の事も知れたしな」
歩きながら2人は話していた。
「あっ!あそこが家だよ」
由依は少し前にあるマンションを指さした。
さしてる先を見て秀二は唖然とした。
「どうしたの?」
由依は覗きこむように秀二の顔を見た。
「何だろ、偶然?」
「何が?」
秀二はおずおずと由依がさしている方をさしながら言った。
「お、俺ん家あのマンションなんだけど」
「えっ偶然!?」
結局2人の出会いは偶然だったのか?
それに、お隣同士だった。
秀二はゆっくり眠れなかった。
由依もゆっくり眠ることができなかった。
◇◆◇次の日◆◇◆
2人は朝から出逢ってしまった。
「お、おはよっ」
「おはよう」
2人はエレベーターに乗った。
「お前、意外と早いんだな」
「暇だから、つい起きちゃうんだよね」
「ふーん」
「ていうか、[お前]って呼ばないでよね!私にはちゃんと[佐藤由依]って名前があるんだから」
「んじゃ、由依って呼ぶな」
「えっ...あっ...うん」
「おま...じゃなかった、由依も砂我君とか言わないで秀二って下の名前で呼んでいいから」
「し...秀二君?」
「うん?なに」
「ちょっと呼んでみただけっ」
由依は照れながらも無邪気に笑った。
そんなことを話してるうちに学校までついてしまった。
ドンッ!!
「な、なんだ?」
秀二は後ろから誰かに押された気がした。
「よっ!」
人の間から真が出てきた。
「なんだよ、真かぁ」
「朝からお熱いですなぁ」
「お前なぁ」
イタズラっぽく舌を出して笑っていた。
「学級委員どうしで昨日なんかあったのかぁ」
真がそう言うと由依は昨日のコトを思い出して顔が赤くなりました。
「あれぇ佐藤さん赤くなってるよー」
「えっ...」
由依は顔を隠した。
「佐藤さん可愛いー」
「えっ!?」
「赤くなったってコトは昨日なんかあったんだ」
真はいつもより鋭かった。
「真!もう教室いくぞ」
秀二は由依の手をとって歩き始めた。
「待ってよー秀二ぃ」
「待たない」
「ヒドイ。俺なんか気にさわるコト言った?」
真は秀二達を追いかけるように教室に向かった。
………in 教室
「おはよー」
由依のところに髪の毛が腰ぐらいまである小さな女の子がやって来た。
「亜美!おはよう」
「「誰その子?」」
秀二と真はハモった。
「この子は私の親友。滝川亜美」
「よろしくね」
亜美は軽くお辞儀をした。
「えっと...こっちは」
「俺は、砂我秀二。よろしくな」
「俺は、相沢真!ヨロシクッ」
「あっ!もうすぐHRが始まっちゃうよ」
4人は席についた。
ガラッ
先生が教室に入ってきた。
「今日はもうすぐやる合宿の班を決めてもらう。男女2人ずつ4人グループな」
先生がそういうと皆がザワつき立ち上がったりして話始めた。
すると秀二の周りに数人の女子が集まった。
「あのぉ...」
「何?」
「「一緒の班になってくれませんか!」」
数人の女子がいっきに言ってきたので秀二はビックリした。
「なんで俺なの?」
「仲良くなりたいなぁと思ってぇ」
「悪いな。先約入ってから」
秀二は言いながら顔の前で手をあわせた。
「「キャー!!!!」」
女子達は謝る秀二の姿がもの凄くカッコよく見えたらしい。
「先約ってぇ、誰なんですかぁ?」
「けっこー仲良いヤツ」
「むぅ」
「そういうコトだからゴメンな。またなんかある時誘ってくれ」
秀二は真のところに行った。
「モテモテだな秀二!」
「うっさいな」
「で、先約って誰なのさ」
「あの2人とお前」
真は秀二が指した指の方を見た。そこには由依とさっき挨拶をした亜美だった。
「なんであの2人なわけ?」
「女子で言葉かわしたのあの2人ぐらいだから。それに...」
「それに?」
「真、亜美って子に惚れてるっしょ」
秀二はニヤニヤしながら言った。
「し、秀二!気付いてたのかよ」
「気付かないわけないだろ。お前の親友だし、さぁ誘いに行くぞ」
秀二は由依と亜美がいる机に向かい、由依の肩を軽く叩いた。
「よっ」
「秀二君っ!」
「由依達、男子決まった?」
「まだ、だけど」
「じゃあ俺と真と組まない?」
「えっ!!秀二君さっき女子に囲まれてたのに決まってなかったの?」
「真が由依達と組みたいって言ったから」
「えっ...し、秀二!」
「前の仕返し(笑)」
真の耳元で囁いた。
「で、ダメ?」
「良いよ。さっき秀二君達を誘うか誘わないか話してたの」
「んじゃ、決まりだな。滝川さんもヨロシクな」
「滝川じゃなくて名前で呼んでください、砂我君と相沢君」
「じゃあ亜美って呼ぶよ。俺達も名前で良いから。それに、敬語じゃなくて良いよ同い年なんだし」
「はい...ヨロシクです」
「真もなんか話せよ」
「えっ...なんでいきなり俺に振んの」
「いいからなんか話せよ」
「よ、ヨロシク...」
「あれ?真君さっきとテンション違くない?」
「緊張してんの」
秀二は由依にしか聞こえないように言った。
「なんで?」
「いつか分かるよ」
キーンコーン
カーンコーン
「じゃあこれから通常授業頑張れよ」
先生は教室から出ていった。
「ねぇ砂我君って付き合ってる人いるのぉ?」
さっき誘ってきた、女子達がまた話しかけてきた。
「えっ...居ないけど」
女子達は、
「ヤッター!」などと言って凄く喜んでいた。
「じゃぁ、私とぉ付き合ぉ?」
「ゴメンな。君のことあんま知らんし、俺じゃなくて違う人に言ったら?君、可愛いから君のコト好きな人多いんじゃん」
「可愛ぃって言われたぁ」
女子はめちゃめちゃ興奮した。
「じゃぁ名前だけぇ覚えといてよぉ」
「いいけど」
「私ぃ桜乃愛加ってぇ言いますぅ」
「愛加ね、覚えとく」
「キャー!めちゃめちゃ嬉しぃ」
話が終わるとタイミングよく予鈴が鳴った。
授業は数学だった。
数学の先生は清楚な女性だった。
クラスの半分以上の男子が多分惚れたと思う。
その次の授業は英語だった。
英語の先生は2人居て、日本人とフランス人の先生達だった。
次の授業は家庭科だった。
最初の授業にしては進むのが早く、いきなり料理をさせられた。
キーンコーン
カーンコーン
予鈴がなった。
いつの間にかお昼の時間になっていた。
「秀二ー!どこで食べる?」
「なるべく人が少ないところ」
「人が少ないところ?どっかあったけな?」
「じゃあ、裏庭は?」
「人少ないならどこでも良い」
2人は裏庭に行った。
「おぉ意外と人少ないよ」
「なら良い」
「てか、いきなり人が少ないところが良いって、どうした?」
「寝たかっただけ。今から寝るから昼休み終わったら起こして」
「お昼は?」
「いらね」
「5時間目、体育なのになぁ」
秀二は日陰のところで眠った。
真は黙々と弁当を食べ始めた。
「あれ、真君何やってるの?」
ちょうどお昼を裏庭で食べようとしていた由依と亜美が通りかかった。
「弁当食っとる」
「えっと、秀二君は何をして」
「見た通り昼寝中」
由依と亜美は2人して少し微笑んだ。
「2人もここで食べる?俺、1人で食ってるの寂しいし」
由依達は少し考えたが、一緒に食べることにした。
「「じゃあ、失礼します」」
「なんで秀二君寝てるの?」
亜美が聞いた。
「知らね。疲れたんじゃね、秀二の周り女子でうるさかったし」
「ふーん」
「亜美達はいつも2人だよな」
「「うん」」
2人は笑顔で頷いた。
「仲良いんだな」
「そういう真君達こそ2人でよく居るじゃん」
「小学校から仲良いしな」
「仲良くねーよ、バーカ」
「秀二起きて...!?」
「あれだけうるさかったら、誰だって起きるし」
「ゴメン」
「謝んなくて良いから。つーか、起こせ!」
「なんで?まだ昼休み終わってないじゃん」
「俺が他人に寝顔見られんのヤダから」
「わがままじゃん!つーか、俺は他人じゃないの?」
「お前は良いの、小学校からの付き合いだから」
「ふーん、そういうコト」
「由依と亜美、真なんか言ってた?」
「特には」
「なら良いや」
秀二は大きな欠伸をした。
「ふぁ。次の授業何?」
「体育だよっ」
由依が答えた。
「寝れねぇじゃん」
「授業中は寝ちゃダメじゃん」
真が言った。
「真、頭どっかぶつけた?」
「それどういう意味」
怒りを込めながら真が言った。
「さぁどういう意味だろうね」
「俺、バカにされてるぅ?」
半泣き状態の小学生みたいだった。
「大丈夫だよ真君。いきなりまともなコト言ったからビックリしただけだよ」
亜美が慰めた。
「亜美だけだぁ俺のみかたは」
真は亜美の慰めの言葉にけなす言葉があったことに気付いてない。
「俺と由依はどうなんの?」
「敵」
「私もぉ!?」
「そっか俺達、敵なんだな」
「秀二君なんで納得してるの」
「敵ってコトは俺達2人は頭が良いこと知ってるよなぁ」
「し、知ってるさ」
真は次言うことが少し予想がついた。
「これから宿題写させてあげないからな」
「そ、そんな」
「敵なんだろ」
真は少し考えた。
「敵とか言って、ゴメンなさい。2人は敵じゃないですみかたです!だからこれからも宿題写させて下さい」
「どっしよかなぁ、由依どうする?」
「私!?...謝ってるから良いんじゃないかな」
「わーい許してくれた!」
半泣き状態の小学生だったのが嘘のように明るくなった。
キーンコーン
カーンコーン
「予鈴なったし戻るか」
4人は走って教室に戻った。
・・・・・・体育
「めんどい」
秀二は今だに眠そうで大きな欠伸を何回もしていた。
「めんどいとか言うなよ、体育楽しいじゃんか」
「眠い」
「今日バスケだって、つーか秀二スポーツできたっけ?」
「さぁね」
「さぁねって」
真は秀二がスポーツをやる姿を想像してみた。
「カッコ良いな〜、俺だってそこそこカッコ良いと思うんだけどな」
秀二に聞こえないように呟いた。
「真、先生来たから早く並ぶぞ」
体育の先生は秀二達の担任の近藤先生だった。
「今日は女子と男子合同でバスケな」
「「はーい」」
「チームはこれから名前言うから、Aチーム青木、久保田、相良......、Bチーム相沢、加藤...砂我、高橋......Cチーム金澤、柴崎、葉山......Dチーム飯塚、小林、遠山......だ!女子はAチーム浅野、佐藤、鈴木...滝川......Bチーム安齋、桜乃、福島、前田......Cチーム上原、大田、長橋、宮川......だ」
「秀二!俺ら一緒だ」
「あっそ」
「あっそって言うな!全力で行くぞ」
「めんどい、本気出さないとダメか?」
「ダメだろ!目指せ全勝だから」
「仕方無いか」
秀二はため息をついた。
「最初は男子のA対Bだ」
先生が言うと位置につき始めた。
「ジャンプボール誰にする?」
「誰でも良いんじゃね」
「じゃあ秀二だろ」
「秀二だよなぁ」
「この中で一番背高いし」
チームの皆が賛同しジャンプボールは秀二がやることになった。
「多分ムリだと思う」
Aチームのジャンプボールは秀二の頭1つ分高い身長だった。
「できるだけ頑張れ」
チームの皆が秀二の肩を叩いた。
「真、ちょっといいか?」
「何?」
「相手の後ろのどっかにいて」
「わかった」
「試合開始するぞ」
先生が言った。
秀二は真ん中に行った。
「うわ、やっぱ高ぇな」
「試合開始!」
先生はボールを上に投げた。
秀二は跳んだ。
意外と相手は背が高いわりにはジャンプ力がなかった。
秀二は相手より高く跳び真が居る場所を探した。
見つけると同時にボールを叩いた。
「うわっ」
真は本当にボールがくるとは思わなかった。
「「キャー秀二君〜」」
見学中の女子は秀二のコトを応援している。
真はボールをとり、ゴールに向かってドリブルをした。
突然、目の前にジャンプボールをしていた長身の男子が現れた。
「真!」
「秀二!」
真は秀二にパスをした。
秀二はボールを取るとその場からゴールに向かって投げた。
ポスッ
ボールはゴールに吸い込まれるように入った。
「3ポイント!!」
秀二は一発目から3ポイントをとった。
「秀二〜すげぇ」
真がハイタッチをしてきた。
「秀二、バスケできたんだな!つーか、かっけぇ」
見学していた女子は騒ぎまくっていた。
「文武両道ってやつか」
「はいはい、次は真が点入れれば」
「簡単に言うなぁ」
「試合再開するぞ!」
・・・・・・・・・・
「終了〜」
結局、42対12でBチームの勝ちだった。
秀二が半分以上、点をとった。残りは真がとった。
この試合で多分このクラスの女子は秀二と真を惚れたと思う。
全試合が終わった。
Bチームは秀二と真の活躍で全勝した。
女子の方は由依と亜美は同じチームで1勝2敗だった。
体育の授業は終わった。
今日は授業が5時間目までだった。
HRが終わるとぞろぞろと皆が帰っていった。
「秀二、帰るぞ〜」
「あぁ」
2人は教室を出た。
「あの、秀二君達!」
後ろから由依が声をかけてきた。
「由依じゃん、どうかしたの?」
「一緒に帰らないかなぁと思って」
「良いけど、亜美は?」
「先に玄関とこ行ってるって」
「へぇ〜」
真は嬉しそうだった。
「いきなり帰らないって言ってきたけどどうした?」
「亜美が...」
「亜美がどうかした?」
真は嬉しすぎて上の空だったから秀二と由依の声は聞こえていなかった。
「告白するって言い出した」
「えっ!?」
秀二から見たら亜美は自分から告白するなどと言わなそうだった。
「推測すると真に?」
「うん...」
「意外だな」
「なんか一目惚れだったらしい...」
「えっと、手伝っても良いけど」
「な、なんで私が言おうとしたこと分かったの?」
「なんとなく」
「じゃあ手伝ってくれるの?」
「あぁ良いよ」
「ありがとっ」
由依は本当に嬉しそうに笑った。
「えっと、2人にしてあげたいんだけど、どうしたら良いかな?」
「校門出るときに、用事があるんだったんだ!とか言って2人にしてあげるとか」
「あっそれで良いね」
3人は玄関についた。
「亜美!」
「由依!どうだった?」
「秀二君、協力してくれるって」
「良かった〜」
秀二と真は2人から少し離れたところから見ていた。
「秀二あれ何話してると思う?」
「何だろな。つーか真にやけてる」
「嘘マジ!?」
「気持ち悪い」
「ヒドッ」
4人は玄関を出て校門の近くまできた。
「あっ真悪ぃ!俺買い物して帰んなきゃいけないんだった」
「えっ秀二!?」
「私もお母さんに早く帰って来なさいって言われてたんだ」
秀二と由依は走って校門を出た。
校門から見えないぐらいのところまで走った。
「ここまで来れば大丈夫何じゃね」
「う、うん...」
「由依、大丈夫か」
「だ、大丈夫。秀二君、足早いっ」
由依は息切れしていた。
「ご、ゴメン。今から時間あるなら休めそうなとこ行く?」
「うん」
2人は秀二がよく行く喫茶店に行った。
「ここの喫茶店良いだろ?」
「うん。落ち着くね」
「だろ、中2ん時見つけたんだ」
「へぇ〜」
2人はさっき頼んだケーキと紅茶を食べながら話した。
◇◆◇次の日◇◆◇
秀二は家を出たら調度、由依と会ったので一緒に登校した。
「あの2人どうなったんだろ?」
「付き合ったんじゃん」
「なんで、そんなはっきり言い切れるの」
「だって真も亜美のこと好きだから。前言ったじゃん俺、合宿の班決める時、真が緊張してただろ由依がなんで?って聞いたからいつか分かるよって言っただろ」
「あれって、好きだから緊張してたの!?」
由依はすごく驚いた。
「由依って鈍感なんだな」
「へっ?」
「あっ!あれ見てみろよ」
「何?」
学校の校門を真と亜美が一緒に通っていた。
「あっ!あの2人付き合ってるのかな」
秀二と由依は確かめるために真達を走って追いかけた。
「よっ、真!」
「おはよ、亜美!」
「うわっ!秀二か」
「わっ、由依〜!」
「2人ともずいぶん仲が良いな〜」
「昨日から付き合い始めた」
「知ってるんだけど真君はなんて返事したのかな〜」
「教えるわけないじゃん。それに...」
真は亜美の顔を見た。
すると、2人の顔がすぐに赤くなった。「からかうなっ」
「まぁ良かったってコトで合宿楽しみだな」
「あっ!忘れてたっ」
「真、合宿のコト忘れてたの」
亜美が頬を膨らました。
「ゴメンっ!でも、楽しみだな亜美」
「うんっ楽しみだね」
真と亜美は2人の世界に入っていった。
「完全に2人の世界に入っちゃったね」
「そうだな〜。俺も彼女欲しいかも...」
「えっ!」
「由依なんでそんなにビックリしてんの」
「いっいきなり彼女欲しいとか言うから驚いたのっ!」
「驚くことないと思うんだけど、俺だって男だしっ」
秀二は由依が驚くとは思わなくて焦った。
「はっ早く教室行こうぜっ」
2人は小走りで教室に向かった。
「あっ!秀二君おはよぉ」
桜乃が挨拶をしてきた。
「おう」
「ねぇ今日の放課後遊べるぅ?」
「えっ...」
秀二は今日は予定あったかなと考えた。
秀二が考えている間に桜乃が秀二の隣に居た由依に気付き睨み付けた。
由依はそっと秀二から離れ教室に入った。
「女子の友達とぉ一緒にぃカラオケ行くコトになっててぇ、もし良かったらぁ秀二君もぉ行かないかなって思ってぇ」
「ゴメンな、確か今日予定あったから」
「そっかぁ...じゃぁ今度遊べる日教えてねぇ」
秀二はいつの間にか隣に居た由依が居なかったから教室を見渡した。
「あっ!居た」
由依は自分の席にちょこんと静かに座っていた。
「由依なんで1人で席行ってんのさぁ」
「邪魔かなって思って」
「邪魔じゃないし、つーか助けてほしかった」
「なんで?」
「俺、桜乃みたいなタイプ嫌いだから」
「そうなんだ」
少し由依は頬を膨らました。
でも秀二は気付かなかった。
「で、桜乃さんと遊ぶことにしたの?」
「予定あるって断った」
「ふーん、予定あるんだ」
「嘘だよ。今日誰とも遊ばないし真も亜美と付き合ったから遊べないだろうし」
「そうなんだ...」
由依はホッとした。
「ていうコトで今日、俺暇なんだ」
「へぇ」
「へぇって興味ないのかよ」
由依は無関心のように返事をした。それに対して秀二はなぜかガッカリした。
ガラッ
先生が教室に入ってきた。
「みんな席つけ」
「「はーい」」
みんながぞろぞろと席に着いていく。
「今日は4時間授業だ」
「「やったぁ!」」
みんなは、はじゃぎ始めた。女子の間では「今日遊ぼうよ」などと放課後のことを話している。
「4時間授業っていっても1年は合宿のコトやるから」
「「ハーイ」」
「さっそく合宿について話すぞ」
先生はまだ4時間授業と聞いてテンションが高いみんなに話始めた。
「合宿は2泊3日だ。1日目の夜は肝だめしをやる。2日目の夜はキャンプファイヤーをやるぞ」
「「わーい!」」
「ていうコトで今日は肝だめしのペアとキャンプファイヤーで何するか決めるぞ」
みんなは席から立ち上がり仲良しの友達同士で集まった。
「言っとくけど、男女ペアだからな」
秀二達のクラスは男子と女子が同じ人数だから男女ペアになったらしい。
すると、クラスの半分以上の女子が秀二のところに集まってきた。
「「私と肝だめしのペアになってくれない?」」
女子の中には当然のように桜乃の姿もあった。
「私とぉペアになってくれなぃ?」
秀二の隣には調度、真が座っていた。
「真助けろっ」
秀二は女子に聞こえないように真に助けを求めた。
「俺が!?」
「あぁ、この場から抜け出させてくれ」
「わかった」
真は立ち上がった。
「こいつにはもう先約あるからゴメンな」
「またぁ、先約ぅ」
「桜乃、ゴメンな」
秀二と真はその場から離れて由依と亜美が居るところに向かった。
「なんとなくっ」
「なんとなくってビックリするでしょっ」
亜美は真と付き合い始めたけど人前で抱きついたりされるのは苦手で顔を赤くしていた。
「わかったよ。肝だめし一緒にいこうね」
「うんっ」
顔はまだ赤かったけど亜美は満面の笑顔だった。
「やっぱ可愛い」
真はまた抱きついた。
「恥ずかしいよぉ」
「また、2人の世界に入っちゃったね」
「そうだな」
秀二と由依は2人から少し離れたところで見ていた。
「あのぅ...」
「何?」
「あの、肝だめし一緒に行ってくれる?」
由依が顔を少しかしげながら言ってきた。
「いいよ、俺も相手探してたとこだし」
「じゃあ決まりだねっ」
由依は亜美みたいな満面の笑顔で見てきた。
秀二は無意識に「可愛い」と呟いてしまった。
「そろそろ肝だめしのペア決まったか?」
「決まりましたぁ」
「よし。じゃあ次はキャンプファイヤーの周りで何やるか決めるぞ」
「はぁい」
「桜乃か、どんな案だ?」
「私はぁ、合宿の時ってぇ私服じゃないですかぁ。だからぁ好きな人同士でぇ普段使ってる物とかを交換するとかどうですかぁ?」
「まぁ学生にしたら楽しそうだが、この案に賛成の人っ」
「「はいっ!」」
ほとんどの女子が手をあげた。