2/10
2
そんな僕には、青木という友達が、いた。
青木は、大学に進学して四年で卒業しているが、
こんなエピソードが、ある。
在学中、彼は、ほか弁で、バイトをしていた。
彼は、ひたすら、唐揚げをこしらえる担当だった。
ある時、店長に、
「青木くん、もっと早く揚げれない?」
と、言われ、
彼は帽子とエプロンを床に叩きつけ、
店を去った…。
勤続、3ヶ月だった。
青木は、その後、開店前の、ほか弁に、
シラーっと現れ、
店長から、一円たりとも、
譲らず、バイト代をもらうと、
大学在学中に、二度とバイトをしなかった。
青木が言うに、大学の講義は、楽しかったと言う。
だが、彼は、
数学が苦手で、大学在学中には、
一切、理数系の講義は、受講しなかった。
大学には、カリキュラムというのがあり、
どの学部、どの学科に入学するか、で、
ほぼ、どんな授業を選択すれば、
無事、卒業できるのかが一目瞭然だと
彼は言う。
青木と、僕は付き合いが長い。
彼は、したたかだった…。




