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小町の道しるべ  作者: 銀胡
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祖母との再会2

祖母はいつもと同じようにベッドに横たわったまま無表情だったが、

例の小町のカルタを見せると小刻みに震える手で持ち、はっとした顔を一瞬みせた。

だが黙ったままだった。

小町は段階を踏んだ方がいいと思ったらしく、

祖母から離れた部屋のすみに立っていたが、祖母は小町に気付いたらしく、じっと見ていた。

表情に変化があまりなかったので、思い出そうとしてもなかなか思い出せないのか、気づいているけど言葉がどうしても出てこないのか、どちらなのかわからない。


だが、

「おばあちゃん、カルタ見つかってよかったね。」と歌子は言いながらカルタを持つ祖母の手をそっと触ると、祖母はこの日一番大きな反応をした。

表情と仕草から歌子は「持って帰って」という意味であることを理解した。

(そんな…)

歌子は小町に対して失礼ではないかと動揺した。

(おばあちゃんの願いだったんじゃないの…?なんで手放すの…?)

だが、祖母の目はかたくなだった。

ちょうどここで面会終了を知らせるタイマーが鳴った。ここ数年騒がせている感染症対策のため時間が短く徹底しているのだ。

これはもう仕方ない。

祖母にまた来るからねと声をかけ、カルタをかばんに戻し帰り支度をして部屋を出ようとした。

小町に目で合図し部屋を出ようとした時、

小町は歌子を通りすぎて、祖母の方に向かった。


驚いた歌子が振り返ると、小町は祖母のベッドに腰掛けて祖母の手を優しく握った。

祖母は今にも泣きそうな顔をして、口をもぐもぐさせてかすかな声でつぶやいた。

「ごめんなぁ、小町さん、ごめんなあ。」


小町はたおやかな微笑を浮かべ、うんうんと頷いた。祖母の頭を優しく優しく撫でている。

「ありがどなあ。ややこ。ずっと気にしでくれてたんだなあ。ありがどなあ。」


小町の低く良い声で話す秋田弁は慈愛に満ちていた。

歌子はこの光景に目が離せなかった。

筆者は秋田弁に関して勉強不足なため、適切な言い方ではないかと思います。

お詫び申し上げます。

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