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小町の道しるべ  作者: 銀胡
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はなの色2

今あたしの名前言った…?


歌子は怖すぎてもう何がなんだか分からなくなってきた。

いや、きっと気のせいだ、消えろ消えろと心の中で叫び続けていると、人影は歌子からやっと離れていった。

歌子は少し安堵したが、まだ安心はできない。

うっすらと目を開けると、人影は歌子の部屋の中を徘徊しているではないか。


人影は恐ろしく髪の長い女性のようだ。

着物を着ている。しかも普通の着物ではなく、歴史の教科書で見たきらびやかな十二単を着ているではないか。

もう消えるのかと期待したが、女は大きな本棚の方に向かっている。そしてじっと隅から隅までマンガや本を見ている。


なんか…めっちゃ本見てない?


女は気になったのか一冊マンガを引き抜いて、

ジュータンの上に寝転んで読み始めた。

歌子が使っているお気に入りのやわらかしっとりビーズクッションを見つけ、手繰り寄せ、頭にひいた。


なんか…思ってたんとちがう…?


リラックス…してない?


歌子はさっきとはまた別の意味で訳が分からなくなってきた。


しばらくすると女は立ち上がり、今度は歌子の机に向かっているではないか。


あああああーーーそこは見ないでくださあああい!!

歌子は今が一番声が出てほしかった。


女は歌子が恐れていた机の上の日記帳を開き見始めた。

そこには、歌子の書いた誰にも見せられない(ポエム)が…。


あああああお客様困りますぅぅぅ!!


歌子はキャパオーバーして突然気を失ったように眠った。

気絶したのかもしれない。


************************************


朝。

明るくなった部屋を呆然と眺めながら、歌子は昨日のリアルすぎる夢を反芻していた。


良かった。夢だった…

かなりしんどかった…


ところがそれを打ち消す声が頭の後ろから聞こえた。

「ずいぶん遅いお目覚めだねぇ」

振り返ると見目麗しい十二単を着た女がいた。

ちょっと向こうが透けている。


歌子はそのまま布団に倒れた。

今度は完全に気絶だった。

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