護衛がいる立場に思う
(オレはアサミのnumberを知らない、、、)
アサミがケイとの約束通り、都内を案内した次の午前。
「アサミにThanks giftをしたい。contactを、、」
来日中の護衛兼側近にケイが指示をするが、ケイは未だにアサミと連絡先の交換をしていないことに気が付いた。
(アラマッ!!missもいいとところだ!!)
考えた末、ケイはアサミの連絡先を聞くためにも、滞在中の身元保証先となったギャラリーに電話をした。
「イリュージョニスト・ケイだ。アサミにmessageを。出来ればnumberを教えてほしい。lunch timeにmagicを披露する。Japanese gardenでだが。ああ、ダレン達も、ぜひに。どうだ?」
(Sharrock ハジメいわく、stay中は ダレンを receptionにしとけ! だったからな。)
自国での自分では考えられない気遣いだと苦笑しつつ、ギャラリーオーナーのハジメに云われたことを思い出したケイは、ダレン達の参加も付け足した。が、電話先のダレンの声は冷めたもの。
『イリュージョニスト・ケイは、アサミ姫と、どいう関係でしょう。そもそもprivacyに関するnumberをご所望なうえ、個人的にmagicを 彼女に披露し、尚且つランチを共にするのですか?何故に?』
顔が見えない電話でも分かる、ダレンからの牽制に、ケイは珍しくたじろぐ。
(、、telephoneからもわかる不機嫌なダレンの声だぞ!ハジメ!staffのsmile trainingぐらいしとけ!厄介だ。)
とわいえ、自分も不遜な物言いだったと理解して、ケイは冷静にダレンの言葉を敢えてスルーすることにした。
「なに No problemだヨロシク。」
少々面倒そうに電話を切り上げたケイを、隣で控えていた護衛が怪訝そうに見る。
「OK。ティダアパアパだ。」
ケイはそんな護衛に問題ないと合図し、ペントハウスに備えつけられたPCを開く。さっそくハジメから紹介された先にmailをする為に。
(ん?昔にもexchange、、あったな、。When?)
ランチタイムのmagicに使う物品と配置を、設置場所の日本庭園へ指定して
協力企業研究所海外準備室を 宛先に送信。この企業をケイに紹介したのも、石川県に本部を置くギャラリーオーナーのハジメだった。
「マイロード、タントウのカスガ様がappointmentをと。」
機材の準備をする矢先、件の相手からの電話が鳴る。
「Repのカスガか。有能なenterpriseを教えてくれたのはテリマカシーだが、カスガはコジュウトだな。ああ、そうだった。」
仮初めの宿であるペントハウスのデスクにはPCの横に、シックなグレーブラックの達磨が鎮座している。アサミと入ったカフェで買った物だ。ケイはその達磨を撫でながら、 ふと思い出した。
『ーカイザー王子は、本校の生徒に、どいうつもりであのようなハラスメントを働いたのですか? そもそも友好交流でのダンスパートナーですのよ?接待ダンスとでも?』
それは在りし日の住之江繭子のセリフ。
このペントハウスを ケイに用意してくれた西の財閥一族の娘 マユとの出会い頭の言葉だった 。それ以来、 捜索の協力者となったマユではあるが、初迎合の手厳しい台詞に、今でもケイは眉を顰め足の甲を見る。
相手にではなく、愚かな自分だったと。
「あのschoolは、、 シチリアを想わせるplaceだったな。」
「マイロードと私、イルファンがご一緒したexchange travelですか?」
「Right。それじゃ、カスガにもOKと。」
指示を受けた護衛は耳元のハンズフリーをONして「OK」と短く囁いた。
窓の外を見るケイの目に浮かぶのは、南地中海洋式 のベージュ煉瓦壁に赤瓦のシンメトリーゴシック様式。それは洗練されたレジデンスとは、また違う木々のグリーンと佇む修道院の様な建築物で。
「ladyの Secret garden だったよな。」
「はい。」
10年前。
インターナショナルフレンドシップ交流として、当時在籍していたシンガポールのミドルスクールメンバーと此の国に訪れたケイ。
観光をしたKOBEにあったミッションスクールで、ケイは忘れられない出会いと叱責を受けた。
「あの時から 、、can't say ゴメンナサイか?」
(そうだ、あの時マユに、)
『はあ?!華ねえさまに直接謝罪するから逢わせろ?このタコが! 世迷い言を吐くようなら一昨日きやがれ スケベ王子!』
(Get kicked out されたきりだ。オジョウサマをキレさせたCurseか?)
次の年もフレンドシップ交流のメンバーに名乗りを上げ意気揚々と来日した
ケイを迎えた スパニッシュミッションの学舎には、もう 前の年にダンスパートナーをつとめた西山 莇美 の姿はなかった。
「あれから10 yearsですか 、、、マイロード。イルファンからはこちらのreportが。」
護衛がケイにタブレットを渡す。そこには自国でケイを送りだしてくれた側近からの調査報告が表示されている。
護衛であるジハンと側近イルファン。
彼等は自国では自分に使える関係ではあるが、ケイの幼馴染みであり、留学も一緒にしてきた間柄だ。
ケイの此の10年を最もよく知る旧友は、ケイにとって今回が国外に出れる最後のチャンスになると分かっている。
「まずは、lunchtimeだな。」
ケイの言葉に、護衛のジハンが黙って部屋を出ていった。