表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

疑問

 私とヒョウカさんはお風呂屋さんから拠点に帰ってきた。

疲れをとりに行ったはずなのにむしろ増えてしまった

気がする。


 「まさか、ああなるなんて……」

 

 「そう?ある程度は予想できたわよ」


 居間にダイブした私を見てヒョウカさんが不思議そうに

言う。

 そう、私達がお風呂に入ってから我も我もと多くの

アヤカシが入りに来たのだ。

しかも最初が座敷童子達で再会を喜んだまでは良かったのだが、その後体洗いをおねだりされてしまった。

 

 「男の子達は後だったからまだマシな方かな……」


 「そうね。でも多くのアヤカシに会えて良かったじゃない」


 「そうですけど……」


 座敷童子達の体洗いの様子を見て私をそういう者だと

勘違いしたアヤカシ達が

「自分も洗って欲しい」と依頼が殺到したのだ。


 「まさか、針女さんまで来るなんて」


 針女。髪の先が針になっているからそのように名付けられたと言われている。

 会えるとは思っていなかったのでとても嬉しかったのだが、髪には気を遣ってるようで

一本一本丁寧に洗ってくれと頼まれた。

 おかげで手全体が痛い。


 (しかも少し針で手を引っ掻いちゃったし……)


 だけど、お礼にお手制の手ぬぐいを貰った。

針が常にある事と器用な事が合わさって、裁縫が得意

なのだそうだ。


 「はー、本当に疲れたなぁ……」


 「そのまま寝ると風邪引くわよ。部屋まで案内してあげるから、もう少し頑張りなさい」


 「はーい……」


 気力を振り絞って起き上がるとヒョウカさんに

ついていく。

案内されたのは西側にある部屋だった。

 長年使われていなかったのか襖を開けると少しカビ臭さが漂う。しかし、中はキレイに片付けられていた。

 おそらく私が散策に行っている間に掃除してくれたの

だろう。


 「ここ、好きに使っていいから」


 「ありがとうございます」


 そう言うとヒョウカさんは居間に戻って行く。

 室内を見回すと隅の方に私のスクールバッグが置いてあった。


 「そういえば一緒に持ってきたんだった。

すっかり忘れてたよ」


 早速バッグを開けて中身を確認する。

幸い、私が元の世界で図書館を出た時のままだった。


 「良かった……。スマホ繋がるかな?」


 バッグから取り出して電源ボタンを押してみる。

しかし画面は真っ暗のままだ。


 (あれ、まだ電池は残ってたはず……)


 もう1回やっても結果は同じだった。

 圏外程度なのかと思っていたら電源すら入らない。

考えが甘かったようだ。


 「まぁ特に調べないといけない物は無いから

いいんだけど……」


 スマホをバッグに戻して今度は妖怪図鑑を取り出す。


 「まさか開かないとかないよね……?」


 おそるおそる表紙を持ち上げると簡単に開いた。

思わず胸をなでおろす。


 (不思議な力で開けなくなってたらどうしようかと

思った)


 そのままページをめくっていくと見慣れたページが

目に映る。


 「アナログは強い……」


 その時、睡魔が襲ってきた。

 スマホが繋がらなかった事と図鑑がいつもどおり使えたという事で興奮していて、この部屋に居る理由を忘れていた。

 どうにか布団を敷くと潜り込む。

 ふと疑問が頭に思い浮かんだ。

 

 (そういえば『門』って常時出ているもの?それとも術で

喚び出すもの?

 後者なら『あちら側』のアヤカシ達もできるんじゃない

かな)


 ヒョウカさんの推測が合っていて、『門』の効果を弱めているのだとしたら簡単に喚び出せそうだ。

 それとも効果を弱める術より喚び出す術の方が難易度が

高いのだろうか。

 そうなら『門』が出てくるのを狙っていても

おかしくない。


 (明日聞いてみよう)


 何度か寝返りを打っている内に私は眠ってしまっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ