|9.幼馴染と課題
遅くなってすみません
「ふはぁ〜」
やべぇなんもしてないのに体の空気が抜けていく
「はい、やるよ!」
なんで紗月そんなにやる気があるんだ?
「あと何教科あるの?」
「えーっと」
僕は分が悪そうに紗月から目をそらす
「まさか...」
そうそのまさかですとも
僕は極力、紗月から目を離して
「国語と数学、英語に理科と社会かなっ☆」
許されると思ったのだろうか
僕は醜く、てへぺろと言わんばかりに言葉を放った
「なーにが、かなっ☆よ全教科じゃないの!」
おっしゃる通りです...
いや、でもね?この1週間ドタバタだったんだよ?
大目に見てくれてもいいんじゃない?
「あと1週間だけど?」
少し呆れた声が胸を刺す
「すいません...」
うん、確かに悪かった、すまん!
「じゃあまず国語からやるよ」
紗月は手をパンと叩いて
机の上にノートと教科書を広げた
こうなってしまっては仕方ない腹をくくろう
カリカリ...カリカリカリ...
黙々と課題を進めていく
さすがの僕にも集中モードのスイッチが入る
国語は得意な方なので割かし早く終わった
小さな伸びをしながら紗月を見る
どうやら手間取っているようだ
「そこ情景描写が主人公の心情表現してるんだ」
「そうなんだ、ありがと」
僕は国語を片付けて数学に取り掛かる
逆に数学は苦手なので11問目につまずいてしまう
「そこはここに代入して、こう」
つまずいている僕に気づいたのか
丁寧に教えてくれる
「なるほど、お前頭いいのな」
「なに?バカにしてる?」
ムッと眉をひそめて頬をプクッとさせる
可愛い、口にはしないが可愛い
「いや理系なんだな〜と思って」
「聖歌だしね」
そうだった紗月は聖歌女子高等学校に
通っているんだった偏差値は高くしかも理系。
自慢じゃないが僕の通っている
陽乃桜ヶ丘高校も結構偏差値が高い
自慢じゃないけどな?
そうこうしているうちに僕は数学を終わらせ
英語に取り掛かる
「よし終わり」
紗月もちょうど数学が終わったようだ
早すぎだろ
まぁでも?僕は英語も得意なので
さっさと終わらせて風呂に入ろう
え、入れるよな?
「英語終わったら風呂入ってもいいか?」
「えー...まぁいいけど」
なんで1回悩んだの?!
まさか入らせない気でいたのか?
怖いんだけど!
カリカリカリカリ.....カリカリ...
英語は問題が多い質より量のタイプだ
どっちの方が効率がいいのかは知らないが
英語より英会話をした方がいい気がするのは
きっと僕だけじゃないだろう
だいたい文法が多すぎるんだよ
覚えるの大変だわ
そんなことを考えながら進めていくと
遂にラスト問題である
英語の櫛田先生はラストは難しくしない
ただの長文だ。と言っているが
それが難しいんだよな〜
「よし、終わり!風呂風呂!!」
終わった途端にペンを置き風呂にダッシュする
今までに無いような速度で服を脱ぎ
お湯に浸かる
「ふはぅ〜」
労働の後の風呂は至福のひとときだ。
と父さんが言っていたのを思い出す
「こういう事だったのか、親父」
親父って呼んだことないけどな
ここで、今までの分の眠気が僕を襲う
風呂で寝たら第1発見者に
裸を見られてしまう!
何としてでも起きていなけれ.....
次に目を覚ますのは数分後
紗月にドアをノックされた時である
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コンコンッ━
「んあ」
しまった寝ていたか
「分からないとこがあるんだけど教えてくれる?」
「いいよ...って入浴中なんだけど?!」
幸い泡風呂だったので大丈夫だった
なんならドアの奥から質問が飛んできたので
心配する必要はなかった
「上がったー」
って紗月寝てんじゃん
あんだけ自分で言っといてお前が寝るんかい
心の中で鋭いツッコミをする
社会の教科書を広げたまま、机に突っ伏し
見事に寝息を立てている
「仕方ないなぁ」
僕は紗月をお姫様抱っこして
部屋にあるベットに僕の腕の中で
ぐっすり眠っている人を預ける
それから僕は残っている理科、社会を
終わらせる
「んん〜〜」
大きく伸びをしながら時計を見ると
針は見事に右側に移動していた
さすがに今からベットで一緒に寝る
勇気はなかったのでソファで目を瞑る事にした