|6.幼馴染は名前で呼びたい
くっそ自分もこんなラブコメしたかった
でもザンネンここは現実世界です
そんな悲しい自分はさておき
ちょっと2人がイチャイチャします
風呂から上がり
9時まで世間話をすると
「じゃあ、おばさんは帰るから
あとは若い子に任せたわ。うふふ」
おばさんはそれだけ言って帰って行った
うふふって笑う人っていたんだなと思った
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特にすることもないので
僕は今日買った本を読んだ
1時間くらいしてから紗月から声を掛けてきた
「ねぇかなちゃん」
理由はないがなんとなくドキッとする
戸惑いを隠しながら本から目を離し応答する
「な、なに?」
あ、ダメだ隠せてなかった
「きょ、今日も一緒に寝てもいいかな」
照れくさそうに言う、僕の理性は大丈夫だろうか?
こんなのでやっていけるのか?
「ま、まぁそう、だな」
他に寝るスペースもないもんな
僕は立て続けに
「そろそろ寝る場所も確保しないとな」
「え、どういうこと?」
「いやそのまんまベットも買わないとなって」
別に家賃やらなんやらが
払えなくなっただけで、そこまで金がないことは無いのだ
「そっか、そうだよね...」
そんな顔しないでくれ僕が悪役みたいじゃないか
どんな顔をしていたかは大体お分かりだろう
そう、まさに想像の通りだよ
「ま、まぁ今日は出来るから」
もちろん添い寝のことだ
そういった途端紗月の顔は新しい顔に
交換したみたいに元気100倍になった
「かなちゃん、ありがとう」
紗月は嬉しそうにニコッとする
僕はまたしてもドキッとする
なんだろうこの感覚...
そうだまた思い出した
正直に言おう
僕はあの頃、紗月のことが好きだった
男子の大半の初恋は年上らしいが僕は違う
僕がこんな事でドキッとするのは
きっと名前の呼び方に原因があるんだ!
昔、呼びあってた名前で呼んでいたら
このままじゃ僕がもたない
もちろん精神的な面で
どれ、ここはひとつ手を打とう
「さーちゃん...」
彼女は「ん?」という表情をする
「名前の呼び方、変えないか」
「えぇ...!?」
そんな驚く?
「なんて呼べばいいの?」
普通に翔湊って呼んでくれと返事をしておく
「は、恥ずかしいよ」
最後の方は声が弱かった
「僕も普通に呼ぶから...」
「そこじゃない!」
━━じゃあどこだよ!とツッコミそうになるのを抑える
紗月はぷいっと後ろを向く
そして恥ずかしそうに
「翔湊...」
「うぐっ...」
思わず声が出てしまった
決して照れている訳では無い!決してな!!
「なんだ、さ、紗月」
紗月はこっちを向いてニヤニヤしている
なにか企んでいるな、やばい
「ねぇねぇ翔湊」
さっきよりも甘い声で呟く
惑わされるな同じことをするまでだ
「どうした?紗月?」
優しめの口調で、でも少しだけ尖っている声で
「......////」
よしよし上手くいった!
これは勝ったな
勝算に誤算がないか確認していると
紗月が恥ずかしそうに
だがさっきの甘い口調も残したまま
枕で口元を隠して
「ずるいよぅ」
「━━━////!?」
ったくずるいのはどっちだっつーの!
これが童貞を殺すあれか
少し違う気がするが
僕という童貞が死んだので気にしないことにした
それから慣れるため、慣れるため...だぞ
用もないのに下の名前で呼びあった。
何度も何度も...
こんなことをしているうちに
11時を回っていた
名前を呼び合うのに1時間も使ってしまった
「翔湊、明日デートしようよ」
ニヤッとしている顔がどうも似合わない
下の名前で呼ばれても特に、こうふ━━━
なんとも思わなくなった
「いいけど、どこ行くんだ?」
「なっ!?素...?」
「当たり前だ、もう僕はそんなに子供じゃない」
「(名前だけで照れてたくせに)」
ボソッとした声が聞こえる
おっと、それは言わない約束だろ!
「それは紗月もだろ!」
両者相打ちと言ったところか
今日のところは勘弁してやる
僕こんなキャラだっけ?
夜も遅いからな
深夜テンションとやらなんだろう
明日は紗月の部活がオフらしいので
デートすることになった
一応待ち合わせをした
紗月曰く、その方がデートっぽいだとさ
僕らは月明かりに照らされながら
2人寄り添って寝た
読んでいただきありがとうございます
どうでした?次回はデート回ですね
どうなりますかね...
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