プロローグ
闇皇とかいて、あんこうと読む...!!
……
「俺って、何か変なスイッチとか押してないよな?」
目の前の光景に呆然として、ただ突っ立てる少年……田中闇皇の口から、言葉が滑り落ちる。
正直、いつかは行けたらどんだけ楽なんだろうとか、逃げ込みたいとかはずっと思ってたけど、さすがに唐突過ぎるんじゃね?
思い出せる限りの記憶では、闇皇はずっと家でゲームをしていたはずだ...いや、毎日ゲームをするだけの生活だったから、思い出そうとしてもほとんど同じ記憶しかないのが悲しいような辛いような……と心の中で苦笑しつつ、もう一度目の前の光景を見直す。
正面を見ても、後ろを見てもどの方角を確認しても何処からどう見ても、至るところに木・木・木!一言で表すのならここは多分森だろうか?少なくとも、人が作ったと思われる物が辺りには見当たらない……。
「まさか...毎日ゲームしかやってなかったから、親がキレて森に捨てられた!?―――ってのは流石にないか...」
親も結構なバカ親だが、流石に自分の子供を森に捨てるような殺人もどきを起こすような親ではない。
だとしたら、どうしてこんなところにいるのだろうか?
……
色んな考えは出てくるけど、結局はどれも合ってそうで正解が分からない……
あれ?そもそも正解が分かったとしても、この状況一切変わらないがないじゃん!?
ってことは、まず最初にやるべきことは……自分の今の所持品と体に異常がないかを確認しておくべきか……。
―――俺の声が聞こえるかどうか分からないけど、これだけは叫ばせてくれ……。
「何でこんな森のなかでスマホと充電器しか持ってないんだよ!?しかもスマホの充電切れって、これじゃあ方角も分からないじゃん!!誰か、ヘルプミー!!」
闇皇は叫ぶだけ叫んで、絶望した。体に異常はなかったが、持っていたものは、何故か地面に携帯とコード型の充電器……しかも充電は切れてるため、コンパスアプリは使えない...つまり、人生の詰みというものを体験したのだ……。
「...」
こうして、絶望の森での生活が始まった……。